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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/8号
2002年更新
民事再生のGIFUセントフィールドGC
100パーセント完全株主会員制へ移行を決定
 GIFUセントフィールドカントリー倶楽部(岐阜県)が、経営会社の株式すべてを会員が保有する、完全株主会員制に移行することが決まった。株主会員制とは言っても、会員は発行済み株式総数の5割以下の株式しか保有していないというケースが多い中、100パーセント会員保有となるのは珍しいケースだ。

 具体的には、同CCの経営会社で民事再生手続中の「関・神野開発(株)」を会社分割制度を使って“分割”し、新会社を設立、その新会社の株式を会員に渡す代わりに預託金債務をチャラにしてもらうというもの。

 預託金総額は180億円に上るとはいえ、金融機関借入もなければゼネコンへの未払い工事代金もない。民事再生手続の計算上では、総額180億円に上る預託金債務は88パーセントカットし、配当は21億円ということになっているが、この21億円を現金ではなく新会社の株券で支払うわけだから、新会社の株券の価値は総額21億円ということになる。

 会員への配当に現金が必要ないためコースを第三者に売らずに済む。この案は9月4日に債権者集会で可決されており、10月中旬には正式に認可確定となる予定だ。

 この方式を提案した理由について、関・神野開発(株)の民事再生申立代理人・池田智洋弁護士は、「市場流通するものを会員の手許に残せるようにしたかった」ためだとしている。再建を果たし、将来会員権市場も好転すれば流通価値も上昇するかもしれないという希望もあるように、ということだという。

 完全株主会員制への移行は、旧経営者が居座ったり、金融機関やゼネコンなど預託金以外の負債がありコースが競売にされる心配があると、実際には実現は不可能になる。

 同CCは、地元でパチンコ店の経営やゴルフ会員権販売に携わっていた横山元氏が、地元の国会議員や有力企業、金融機関、財界人などの出資を仰いで昭和60年に経営会社である関・神野開発を設立、コースは平成6年にオープンしている。

 経営の主導権を握っていた横山氏は「本業不振が原因で数年前に同社の社長を退いており、現在の長谷川静社長は株主の意向で就任した金融機関のOB」(地元関係者)。

 池田弁護士も認める通り、「現経営陣に(経営に残りたいという)こだわりがなかったことも今回、完全株主制への移行が実現したポイントのひとつ」で、いくつもの好条件が重なった、希有なケースと言わざるを得ない。

 もともと同CCは、昨年償還期限が到来し、昨年2月に10年延長とともに会員権の2分割と一部差額の返還を会員に提示、8割強の会員の同意を得ていた。しかし、返還請求訴訟を起こす会員もおり、コース側が敗訴したことをきっかけに、会社側が民事再生を申し立てることになった。

 少数派と言えども返還を求めて訴訟を起こすのは、会員に認められた当然の権利ではある。ただ、その一方でプレーを続けたい会員は、返還訴訟に勝った一部の会員のお金を回収するためにゴルフ場の競売の申し立てをされては困るわけで、まして今回のようにコースに抵当権がまったく付いていないような場合は、返還を求める会員とプレー継続を求める会員の利害は正面から対立してしまう。

 ところで、経営者の居座り、預託金以外の債務者の存在と並んで完全株主会員制のハードルのひとつと言えるのが、経営の担い手の確保の問題だろう。株主会員は通常の場合、他に仕事を持っているわけだから自らがゴルフ場経営に専念できる人物はほとんどいない。たとえ専念できる人物を確保できたとしても、強烈なリーダーシップを握れる人物でないと、派閥ができて会員間の対立を招き運営がうまくいかないこともある。今回のケースではまだ新会社の経営陣をどうするかは決まっていない。

「会員に株券を引き渡す来年の6月以降、早い時期に総会を開くことになると思う」(池田弁護士)ので、その段階までは現在の長谷川社長が留任し、それ以降は会員たちが決めることになる。最後のハードルをクリアできるかどうかは、会員次第と言えそうだ。

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