週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
------優勝おめでとうございます。 「(優勝は)777日ぶり? 誰が計算したんだ(笑)。まあ、嬉しいことには違いないけどね。自分がこういうふうになるってこと、信念持ってやってきたからね。でも、この777日の間は、人生の中で一番充実した日々を送れたね。ゴルフってのは、もちろん良い面を求めてやっているんだけど、追求すればするほど悪い面も出てくる。そういう戦いが2年くらいできた。人間としての充実感、自分でよくやったなって非常に感じるね。こういうことは、人生においてなかなかない。試合が終わると、日曜の夜から、ずっとゴルフの技術的な分野、肉体的な分野を追求してきた。そういう成果が出たので、非常に満足感が大きいね」 ------藤田選手については? 「今日はすごく良いゴルフをしていた。隙がなかったね。その中で彼のミスを期待する自分がいたりしてね、すごく情けなかったね。15番で、彼がグリーンを外したときにパーで切り抜けた。でも、自分の心の中では『ボギーにしろ、ボギーにしろ』って思っているんだけど、人のミスを待つより、自分でバーディを獲りにいかないとという気持ちが強くなって、16番でいいバーディが来た」 ------17番の第2打について。 「どういう当たりをしたのかわからないけど、あそこまで球が飛んでくれるとは思わなかった。半分、シャフトが折れてもいいと思って打った。でも、グラファイトで形が戻るから、まあ疲労骨折くらいはしているかもしれないけどね(笑)。藤田のセカンドの狙いは、よっぽどいい球打てないとナイスショットできない。自分もあそこに打ったことあるしね。林に入ったのは、彼にすればトライしてバーディを獲りに行った結果だからしょうがない。そういう気持ちが、彼を支えているんじゃないの。トライして、悪い結果になるかもしれないけれど、前向きなトライをすることは基本的に必要だから」 ------ジャンボさんの17番の第2打は当たり前のこと? それとも“トライ”ですか? 「う~ん、なんだろうな。あの状況では、どこまで距離が出るか計算できない。ちょっと左右にずれても、第3打で木が邪魔になるし……。3打目を狙える場所に運べたのは、結果的には会心のトラブルショット。あれを見て藤田が狙いにいったんじゃないかな」 ------この優勝までで一番苦しい時期はいつだった? 「苦しいのはしようがないこと。頑張って一生懸命やっても、今回のように(坐骨神経痛からくる)右脚の痛みが出たり、肉体的なこととかね。それより、やろうとしていることができているかどうか、なかなか感じられないのがつらい。今までやって一番良かったと思うことは、肉体的に鍛えていくことが先決と思ってやってきたこと。俺の年齢的にいえば、よく中高年に勇気を与えるって言われるんだけどね、そういうのって俺は好きじゃない。それは誰でも意外と簡単にやれることだと思うし。俺は勇気というより感動を与えることが、自分の使命だと思ってる。まあ、たいした感動はまだ与えてきていないんだけど(苦笑)。でもまあ、勝負としては面白かったけどな。やってるほうはつらかったけど」 ------18番でドライバーを持ったのは、やはり“美学”ですか? 「最初はスプーンで確実にって思ったんだけど、やっぱりここでドライバーが打てないと、マスターズにいけないんじゃないか?(記者一笑)いや、ほんとほんと、そういう気持ちだね。今日のピンは、2段目だったから、スプーンで打っても、第2打をミドルアイアンで打てるってわかっていたんだけど、それでも、この試合のティショット、ドライバーがイマイチだったので、最後まで、そういう印象で終わりたくなかったし、最後はドライバー握って、真っ直ぐ打つ、ということが自分の目指していることだからね」