週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
ちょうど折も折、女性メンバーのいないオーガスタ・ナショナルの問題が米マスコミ界で騒がれていることもあり、ホットな話題となっているのだが、マスターズ委員会をいじめている(?)女性団体NCWOのM・バーク会長が、今回の快挙について「凄いことをやってのけた。彼女がPGAツアーに出ることを期待している。すべての女性が誇れることだし、若い女子選手らの励みにもなる」などと語ったものだから、ホエーリーさんは、米国中から注目され、テレビに出演し、新聞でも大きく取り上げられるなど、ちょっとした時の人になっているのだ。 しかし、問題はホエーリーさんが優勝した大会は、彼女を含め、2人の女性がプレーしていたが、女性はレディースティを使用できるというルールがあった。つまり、男性が6938ヤードのバックティでプレーしたのに対し、ホエーリーさんは6239ヤードのティでプレーしていたのだ。そのため彼女本人は、「(ハートフォードオープンでは男子と同じバックティでプレーしなければならず)私が普段プレーしているコースより800~1000ヤードも距離が長い。もし私が、全国中継のテレビで、80以上も叩く姿が放映されたら、それが女性のゴルフにとって良いことかどうかわからない。もちろんタイガー・ウッズやフィル・ミケルソンとプレーするのは、素晴らしいことだと思うが、試合に出場するかどうかは、まだ決めかねている」と判断を留保している。 そのため周囲が「出るべきか、辞退すべきか」と騒いでいるのだが、たとえばウッズは「彼女は(男子の)試合に優勝して出場権を獲得したのだからカッコいいじゃない」と言うし、ボブ・メイは「彼女は歴史に名を残すチャンスを得たのだから、出ない理由はない。米ツアーは“男子ツアー”でなく“PGAツアー”で、誰でもプレーできるんだ」と歓迎の意向を示している。 そもそもこのホエーリーさんが男子の試合に出た経緯だが、日本では、女性のプロといえばLPGAに所属することになるが、米国ではPGAオブ・アメリカ(クラブプロを中心とする組織)に属する女性プロの存在も珍しくない。彼女は90年代の前半に2年ほどLPGAに属し、女子ツアーに参戦していたこもあるが、あまり目立った成績は残していない。現在はコネチカット州のブルー・フォックス・ランというゴルフ場のヘッドプロを勤めながら、2人の子供を育てている。米国のクラブプロは、プロショップの経営をはじめ、スタート予約の管理など、プレーの能力以上にコース経営の能力が要求されることから、昨今では女性メンバーの進出も目覚しいのだ。 その一方で、今回の彼女のPGAツアー出場権獲得について批判の声が出ているのも事実だ。もともとPGAツアーは、PGAオブ・アメリカから独立した組織なので、通常の試合にはクラブプロからの出場枠を残している。そのため、ある意味では、PGAツアーに出る“裏口”のような枠ともいえる。しかもコネチカット州の競技にはレディースティの特例があるために、「彼女は異なった基準の元に、異なったコースでプレーし」出場権を得たという批判が上がっているのだ。 そういえば9月19日、マイク・リーザーというプロが60歳で他界したが、彼はA・パーマーのキャディとして知られる一方で74年、米ツアーのテラハッセ・オープンで、試合期間中に落馬して怪我をし、片手だけのスウィングで、123、114というスコアを出しながらもホールアウトしたという非公式の“ハイスコア”記録を持っている。スコアはともかく、PGAツアーは参加することに意義がある?