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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
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週刊ゴルフダイジェスト 10/22号 |
2002年更新 |
経営会社が二転三転、翻弄され続けた
津GCの会員が遂に決起、守る会を結成
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10月8日に、グランドオープンする樹王カントリークラブ(旧・津ゴルフ倶楽部=三重)。旧会員から登録料を求め、しかも旧経営会社と新経営会社のオーナーがともに逮捕されるに至り、会員の反発が頂点に。大規模な会員組織も誕生し、オープンを前に混迷を極めている。
津GCは平成2年開場。これまで正会員1980名、平日会員485名と公表してきたが、実際は額面500万~700万円を中心(最高は2200万円)に、4080口の会員と総額240億円の預託金を集めたとされる。
そもそも事の発端は、預託金償還期限を迎えた昨年春。会社側では前年の12月、理事会で10年の据置期間延長決議を行い会員に要請したが、反発した会員約40人が、預託金返還を求め提訴したことに始まる。昨年6月には創業者の加藤征宏社長に代わり、(株)ケー・エス・シー(以下KSC)の山口悟オーナーが代表取締役に就任。
前経営会社時代から延長を要請した結果、同意約900名、非同意約470名、未回答約2400名という回答だったため方針を白紙撤回。
翌7月、キャッシュバック制度とプレー会員権という2つの制度をセットにした新償還対策を提案した。前者は、平日限定のプレー券を会員に発行。それを利用した会員及び知人が客として使った総額の10パーセントを会員に返却、これを預託金の償還に充てるもので、後者は、預託金を返さない単なる利用権となる。金額は新規募集予定の平日150万円、個人正会員350万円、法人500万円とし、会員は所有する会員権の額面を分割、2つの制度に振り分けることで、財産(換金)とプレー権が確保できるというもので1年で約2000名がこれに応じた。
ところが、プレー会員権の発行は津GCではなく(株)KSCで、ここで会員はその存在を初めて知り、この先、会員への文書も(株)津ゴルフ倶楽部ではなく、KSCの津GC事業部名で発行、KSCがすでに5月に同GCの営業権を取得していたことも知らされる。
迷走するのはここからだ。まず今年5月、津GCの前経営陣がKSCに対し営業権の返還と撤退を求める。これを受け5月27日、KSCは津GCの商号使用の問題、また昨年から16名の会員がKSCに預託金返還を求める訴訟を起こしたことを理由に、あっさり津GCに営業権返還を決定。ところが、謄本によれば、翌々日の29日には、ゴルフ場の所有権が、津GCからKSCに贈与により再び移転。6月、KSCは営業権の全経営会社への返還をまたまた白紙撤回。
そしてゴルフ場の商号を「樹王CC」に改め、今月8日の正式オープンに向け準備していた。そして津GCの会員には、樹王CC移行の追徴金ともいえる登録料と入会金を求めたのである。
これで会員の怒りは頂点に。すでに提案通りプレー会員権を取得した会員、一定期限内に移行する会員には平日、個人正会員、法人で各30、50、70万円の登録料を。それ以降は、この他に45万円、105万円、150万円の入会金が必要というのだから、怒るのも無理もない。
すでにプレー会員権に移行した2000名の会員も含め、9月には約500人規模で「津GC会員の権利を守る会」(高山順一会長)が結成された。
代理人の串田正克弁護士は、「KSCについては詐害行為取消権に基づきゴルフ場施設の土地建物を津GCに戻すことを求め、津GCについては破産により、真相を明らかにする。その過程で経営権を会員が獲得するなど、会員の権利を最大限に守っていきたい」と、新旧経営者の横暴に憤慨している。
一方、旧会員に登録料、入会金を求めているKSCは「津GCとの和解による正当な営業権と所有権の取得で、我々の思いはゴルフ場を救うこと。我々はゴルフ場に設定されている64億円の債務も引き継いだため、再生には会員の協力が不可欠。会員の権利を守るために、会員組織と話し合う用意もある」(岸川真也専務)としている。
ただ会員の不安は他にもある。9月2日には、KSCの山口悟オーナーが職務強要で逮捕。起訴され、また10月3日には強制執行妨害で再逮捕。しかも同事件で津GCの加藤征宏元社長も同じ容疑で逮捕されている。直接、ゴルフ場とは関係のない事件だが、「2人は一連托生で、会員を騙そうとしている証拠。捜査によって事件が、ゴルフ場に波及する可能性もあるのでは……」と、会員からは怒りにも諦めにも似た声も上がっている。
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