週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
チームとともに帰国した藍は「とても難しいコースだっただけに充実感でいっぱいで(優勝したという)実感があまりなかったんですが、少しづつそれが出てきました」と噛み締めるように喜びを語った。 強敵と意識する韓国のキム・ジェミーと4日間一緒にプレー。3打差をつけられて迎えた雨の最終日にスコアを2つ伸ばすアマチュア離れしたしぶとさで見事に逆転した。 「ずっと1対1みたいな状態。地元の選手への応援も凄い中で思った以上の成績が出せました」と頬を紅潮させ、勝因についても、そこで頑張れた精神力であると、強くうなずいた。 「団体戦のことばかりを考えてプレーしていたので、個人戦についてはあまり頭になかった」と、団体戦で韓国に敗れたことを悔しそうに語ったが、逆にそちらに集中したことが、個人としてのいいプレーを引き出す結果となったようだ。 一方、団体戦と個人優勝(丸山茂樹、横尾要、近藤智弘)といずれも4連覇のかかった男子は、藍の兄でチームのけん引車でもある優作の調子が今ひとつで、団体では辛うじて銅メダルを取ったものの、個人戦ではメダルなし(宮里優作は3位決定戦のプレーオフで敗れて4位)に終わり、兄妹で明暗を分けた。 優作は、体調が今ひとつだったこともあり、初日に7番パー4で「9」を叩くなどして78の大叩き。結果的にこれが響いて、団体、個人ともに不本意な成績に終わった。 「体調については言い訳になってしまうのであまり言いたくありません。後半、頑張ったんだけどダメでしたねぇ……」と首をかしげながら悔しがる優作。団体戦三連覇、そして丸山茂樹以来、三大会続けて日本のエースが個人優勝も果たしているだけに「今大会も」という重圧がかかっていたはずだが「楽しんでこようと思ってプレーしました」と、そのせいにはしなかった。それよりも「よくないとき、苦しいときにどうプレーするかですね」と課題を背負っての帰国となった。 最近では兄妹揃ってアマチュアの試合はもちろん、出場するプロのトーナメントでも顕著な活躍を見せており、予選を通るかどうかというレベルではなく、優勝争いと言う次元で期待が大きく、プロからの注目度も高い宮里兄妹。とくに藍は昨年、難コース・室蘭GCで5位に入り、ローアマを獲得した日本女子オープンと日程が重なったため、代表入りしたアジア大会出場を選択したが、今回金メダル獲得という最高の結果を出したことで、誰をも納得させた。 「女子オープンは頑張れば来年も再来年も、プロになれればその後も出られます。でもこっちは今だけですから」と迷うことなくアジア大会に出場。優作は今週(17~20日)日本オープン(下関GC)出場の後になるが、その翌週にはまたまた兄弟揃っての世界アマ(女子は10月16~19日、男子は同24日~27日、マレーシア・クアラルンプール、サウジャナG&CC)出場が待っている。 今回は明暗分かれてしまった宮里兄妹だが、今度はともに大きなお土産を持って帰ることを誓い、目を輝かせて世界アマへのステップを踏み出した。