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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 11/5号
2002年更新
年間スポンサーのイーヤマ撤退を正式発表
試合数減で“崖っぷち”の国内男子ツアー
 年間タイトルスポンサー撤退で国内男子ツアー(JGTO)の台所事情が崖っぷちに立たされた。かねてより噂されていた通り、ツアーそのものと日本ゴルフツアー選手権イーヤマカップをスポンサードしていた(株)イーヤマ(勝山和郎社長)の撤退が決まり、15日、ツアー側が苦しい会見を開いた。

 奇しくもこの日は、賞金ランク上位30人だけが出場できる米ツアーの最終戦、ツアー選手権の冠スポンサーにコカ・コーラがついたという発表が海の向こうであった日でもあり、明暗がはっきりと別れた格好だ。

 JGTOの島田幸作チェアマン、イーヤマとの折衝を担当した岡村賢三常任理事の2名による発表は、年間5億円で3年間ツアーをサポートしてくれたイーヤマに対する感謝と、お先真っ暗な今後に終始。

「(イーヤマが)やめるという感触はなかった。満足して頂いていると思っていた」(岡村理事)、「8月にイーヤマにこれまでの総括を出したときには、『今後もこれまでの延長でやっていきます』、ということだけで、とくに(今後の新しいアピール方法のプレゼンなどは)していません。ただ、もう3年経ったことですし、ツアー選手権の賞金を少し上げて頂けないかということは伝えましたけど」と見通しの甘さと暴露した。

 実際、7月のツアー選手権終了後には撤退報道が相次ぎ、イーヤマ側は「費用対効果と言うものがある。(新しく発足したツアーと言うことで)いつまでもミルクをあげてばかりもいられない」とシビアな発言をしており、JGTO側からの決定的なプレゼンがなければ撤退は時間の問題だった。その状況が把握できていなかったとすれば判断ミスとしかいいようがない。

 ところで、こうなってくると気になるのは当然、来年以降のツアーの台所事情だ。年間5億円のイーヤマからの収入がなくなる以上、これに代わるスポンサーを探さなくてはならないが、これが遅々として進んでいない。

「断固、売るしかない。ツアー全体としては来年始めだが、ツアー選手権は7月まで時間がある。期限? いいスポンサーがつくまでです。スポンサーがつかない場合? そういう最悪の事態での仮定での話は勘弁してください」(岡村理事)と、強気なんだか弱気なんだかわからない発言をしていたが、これには裏がある。

 実はこれまでにも、今景気のいい消費者金融など「イーヤマの代わりにスポンサーになりたい」という企業からの話はいくつかあったようだ。だが、決定に至っていないのは、ツアーのスポンサーには様々な制約があるから。ツアー関係者によると「まず既存のトーナメント主催者らが納得する企業でなければならず、しかも現状では中継局であるNHKが受け入れる企業ということになるので、そう簡単にはいかない」と言う。

 つまり、各トーナメントのスポンサーと競合しない企業を考えるが、既存のトーナメント主催者は多岐の業種にわたっており、これらにバッティングしないようにするのは困難。加えて中継がスポンサー色が出るのを嫌うNHK。そのおメガネに適う企業は、そうあるものではないということだ。

大会開催コースのこともあるし、遅くとも11月中には決めてもらわないと」という関係者の悲鳴が聞こえてきそうな成り行きだ。JGTOはこの会見の日を境にツアースポンサーとツアー選手権の冠を6億円でオープンセールス。イーヤマのときよりも値上げするあたりに強気の姿勢が見られるが、内情は厳しそうだ。

 実際、来季のツアー日程は大きく変わる見込みだ。静岡オープンが消滅、開幕戦の東建カップが4月第3週にズレ混んで、遅いスタートを切る方向だ。日本プロマッチプレーの開催も絶望的で、試合数は確実に減少する。99年にJPGAと袂を分かち、新たな船出をしたJGTOツアーだが、3年経って試練の波にさらされている。

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