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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 11/5号
2002年更新
政財界トップの会員らが女性入会賛成を
続々と表明、社会問題化するオーガスタ論争
 オーガスタナショナルの女性メンバー入会問題が、その波紋を広げている。オーガスタのW・ジョンソン会長が、スポンサーに協力を求めないと語り、来年のマスターズのTV中継からTVコマーシャルがなくなった……ここまでは、まだゴルフ界の出来事といった印象があった。ところが、今や経済問題から政治問題、米国の社会問題へとまで発展しているのだ。

 なにしろ、ニューヨークタイムズ紙をはじめ、ワシントンポスト紙、USAトゥデー紙など、一般新聞までが、まるで4月のマスターズ・ウィークのようにほぼ毎日、オーガスタのニュースを伝えている。

 まず、シティバンク・グループのS・ウェイル会長が、オーガスタに圧力をかけている女性団体・NCWOに、女性メンバー入会に向けて「建設的な会話を続けていきたい」といった手紙を送り、オーガスタのメンバーとして初めて、この問題について発言したニュースが伝えられたかと思ったら、次は米国オリンピック委員会のCEOで、やはりオーガスタのメンバーのL・ワード氏が「オーガスタから女性を排除している障壁を取り除いていくことに協力していく」と語ったことが、報道されている。その他、アメリカンエクスプレスのK・シェノールト会長も同様のコメントをするなど、毎日のようにオーガスタのメンバーが発言、それがテレビや新聞で報道されているのだ。

 さらには、オーガスタの歴史やジョンソン会長、NCWOのM・バーク会長のプロフィールなども一般紙に紹介されているのだから、どれほど大騒ぎになっているかがわかるだろう。ついでに、企業トップのモラルの問題で、ゼネラル・エレクトリックのJ・ウェルチ前会長が、オーガスタの年会費を会社に支払わせていた問題が明るみに出たり、アメリカの駐英大使であるW・ファリッシュ氏が、オーガスタのメンバーであることが分かり、「公僕が女性を差別するクラブのメンバーになっているのは許されることではない」というバーク会長に対して、ブッシュ政権が、「ファリッシュ大使は、大使にふさわしい経歴を持ち、素晴らしい仕事をしている」(S・マクレラン広報官)といった弁護まで強いられるなど、政治問題にまでなっているというわけだ。

 オーガスタのメンバー約300名は、大半が米国政財界のトップクラス。それだけに選挙や自社の製品の売り上げなどを気にするメンバーたちにとっては、“女性差別主義者”といったレッテルを貼られてしまうわけにはいかない。そこで、口をそろえて女性会員の入会賛成、の意向を公言し出したというのが真相のようだ。そして、メンバーの社会的地位が地位だけに、こうした問題が即、政治や経済問題にまで、発展してしまっているのだ。こうした表に出た記事だけ読んでいると、メンバーの大半が女性入会に賛成しているかのような印象になるが、その一方で、「企業の現役トップがほとんどだが、約20名前後のメンバーが(女性メンバーをすぐに入れるべきだと)考えているに過ぎない」といったメンバーの声が聞かれるのも事実。

 女性メンバーの候補のひとりと言われているナンシー・ロペスも「オーガスタは男たちが創ったクラブ。彼らに女性のメンバーを入れろというのは、人の家に行って、その家のペンキを塗り変えろと言うようなもの」と、オーガスタに同情を寄せる発言をしている。この発言が一般的な見方のようで、来年のマスターズまでに女性メンバーを入会させるのは難しそうだ。

 すでにロペスをはじめ、S・オコーナー最高裁判所判事など、新女性メンバーの候補者の名前も出始めている。しかし、もともと今回の論争が起きる前から女性メンバーを受け入れようという土壌はあったわけで、オーガスタとしては、NCWOに屈した形にはならない、来春のマスターズ直後に、女性会員の入会発表があるのではないかとの声が強い。ともあれ、女性がオーガスタに入会するまでは、この問題、収まりそうもない。

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