週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
今年の米女子ツアーは、なんといっても今季9勝のA・ソレンスタム(32)の活躍に話題が集中しているが、その陰に隠れ、パク・セリ(25)を初めとする韓国勢が計8勝を挙げる大活躍しているのだ。今季メジャー1勝を含め、5勝を挙げているパクが、賞金女王になれそうもないのは不運と言えるのかもしれないが、本人は「ソレンスタムやK・ウェブ(27)の水準に近づいてきている。私は、彼らより若いし、経験も浅い。しかし、(賞金ランク)2位にはもう疲れた。今年は残り3試合(10月28日現在)だが、そのうち2勝はしたい」と意欲満々だ。 実際、LPGA賞金ランクの上位25人のうち、韓国人は5人もいて、この5名が皆25歳以下という若さ。しかも、米ツアーの経験は、パクの5年を最高にキム・ミヒョン(25歳、賞金ランク4位)の4年、グレース・パーク(23歳、13位)、グロリア・パーク(22歳、23位)の3年、ハン・ヒーウォン(24歳、14位)の2年と、皆若くて経験も浅いのに、すでにトッププレーヤーの仲間入りを果たしているのだから、ソレンスタム、ウェブに代わる次世代が、韓国の時代になる可能性は非常に高いといえるだろう。 「去年よりゴルフがうまくなっているのは間違いない。ナンバーワンになるのが目標で、その目標に少しづつだが近づいている」と語るのはグレース・パークだが、韓国勢全員が年々力をつけており、レベルを上げているのだから無視できない。しかも、今季2勝のキムは「韓国では、子供たちが私たちを目標に、アメリカでプロになることを目指している」と言い、事実、今年のQスクールでも、3人の韓国人が合格、来季のフルシードを手に入れたほか、条件付きで出場権を獲得した準メンバーと合わせると計7名もの韓国人選手が、来年のツアーカードをモノにしているのだ。 かといってLPGA全体の水準が下がっているわけではない。日本人選手を見てみると、賞金ランクでいえば福嶋晃子(29)は43位だし、小林浩美は95位。今季初参戦で賞金シード獲得が果たせなかった若手の片野志保、小俣奈美香、中島真弓の3人はQスクールを受け直し、中島と片野が辛うじて準メンバーとして来年のツアーカードをキープしたという状況で、LPGAのハードルは、むしろ高くなっているともいえる。それだけに、韓国勢の躍進が目立つのだ。 今年2勝目を飾ったグロリア・パークに言わせると「韓国の選手は、メンタル面で強いし、よく練習している。アメリカの選手も若いときからゴルフを始めているけど、韓国の子供たちのほうが、(プロを目指して)ゴルフに集中して練習している」とかで、ハングリー度が他国の選手と違うようだ。 樋口、岡本、小林、福嶋と、その時代ごとに優れたプレーヤーを輩出してきた日本勢も、今の韓国勢のように一気に何人もの選手が米国で成功を収めたことはなかった。今年は、ビッグアップル、ウェンディーズと2週続けて韓国人同士が、優勝争いをするという場面が見られたが、数年後にはこんなシーンは当たり前で、トップの選手は韓国勢ばかりなんてことも、まんざらあり得ないことではなさそうだ。 11月に入り、米女子ツアーは、日本に場所を移しているが、ソレンスタムやウェッブばかりでなく、韓国勢のプレーぶりにも、チェックしたいところだ。