週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
ジョンソン会長が語ったのは、先の11月4日の米通信社APとのインタビューでのことだが、この内容が12日に明らかになったことから、その後、TV局を始め、米メディアが一斉に賛否両論、この問題について論評を紹介しているのだ。 そのインタビューによると、以前本誌が予想したようにジョンソン会長は「少なくとも来年のマスターズまでに女性メンバーを入れる予定はない」とし、「いつの日か女性メンバーを迎える日があるかもしれないが、それは将来の話」というスタンスは変えていない。 その中では、オーガスタでは、毎年サウスカロライナ大学の女子ゴルフチームを招くなど女性ゴルファーのプレーは年間1000ラウンド以上であることや、黒人メンバーが6名前後いることなども明らかにしているが、中でも、「オーガスタはマスターズ(の大会)から、金銭的な恩恵は受けていない。マスターズで得た収入は、マスターズに再投資されるし、でなければ、どこかに寄付している」とジョンソン会長が語っていることは注目に値する。 というのも、プライベートクラブが誰をメンバーにするかは自由だが、オーガスタがマスターズを開催、入場料収入や放映権収入など一般ゴルフファンから収入を得ている以上、純粋なプライベートクラブとは認められないといった見方があったからだ。この話が本当で、ジョンソン会長が音頭を取った今年のコース大改造などの費用なども、マスターズとは関係なく、メンバーの年会費から捻出されているとしたら、この問題、来年のマスターズのTVスポンサーをキャンセルする必要もなく、オーガスタ側に分があることになる。 しかし、話の本筋はズレて、焦点はプライベートクラブには、メンバーを選ぶ権利があるのかどうかという問題にすりかわってしまっている。 「人種の問題と性別の問題は、別物。(中略)ボーイスカウトに女の子が何か貢献できることがあると思うか? プライベートクラブには、私たちが望む人間を選ぶ権利がある」(ジョンソン会長)というのだ。 このインタビューと前後して行われた世論調査(調査人数800名)では、「オーガスタナショナルは、クラブのポリシーを(外部の影響を受けずに)自分たちだけで決めることができるか?」という質問に72パーセントがイエスと答え、「オーガスタを含め、ボーイスカウトやガールスカウト、あるいは女子大などが、メンバーを単一性に限る権利を持っているか?」という質問には74パーセントの男女ができるとしているのだ。 これに対し、今回オーガスタに抗議している女性団体NCWOのM・バーク会長は、ジョンソン会長が沈黙を破ったことについては「クラブのメンバーやPGAツアーのスポンサーなどからプレッシャーがかかったため」と自分たちの活動の評価しながらも、世論調査については「まだ、その調査を見ていないが、70パーセント以上が性差別を支持しているとは信じがたい。それにこの世論調査をした団体は、保守的なところで、質問が故意に歪められているのでは」と反論している。 13日のニューヨークタイムズ紙では、ジョンソン会長を「時代錯誤」としたり、女性入会に積極的なメンバーたちにジョンソン会長が緘口令を敷いたなんていう記事も掲載、米マスコミの多くは、ジョンソン会長に批判的なのだが……。この問題、来年のマスターズまでにまだひと悶着もふた悶着もありそうだ。