週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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　以前ほどではないにしろ、ゴルフ場経営者にとってRCCは脅威的存在だ。何しろ“整理”して“回収”する組織だから、有無を言わさず潰されてしまうイメージが払拭しきれないのだ。必然的に、潰されて一番困る会員にとっても脅威的存在だ。最近もアバイディングと土浦CCがRCCから法的手続きを起こされたばかり。しかし、今回は債権放棄。一体どこで“運命”が分かれるのだろう。

「ゴルフ場の運営能力自体は高いので、過大債務の原因であるハワイの資産を売って撤退すれば国内コースについては再生可能という判断です。再生を図ることでRCCとしての回収の極大化を目指します」（RCC大阪広報室・中川剛毅氏）。

　信和グループは国内8コース、海外ではハワイに5コースを経営しているが、年間売上が70億円強なのに対し、金融債務は旧・日債銀から譲り受けたRCC分だけで730億円もある。これ以外にびわこ銀行、滋賀信用農協、三井住友銀行からのものが100億円以上。

　この莫大な債務を、ハワイの資産と国内の遊休資産を売って大幅に減らし、あとは国内8コースの収益から毎年6億5000万円ずつ、12年間で総額78億円をRCCに返済することで、残りは債務免除してもらうということになる。免除額については「ハワイの資産がいくらで売れるかに左右されるので、現時点では不明ですが、既に買い手の候補もいくつかあるようで、来年3月～4月には売却が実現する予定」（中川氏）だという。

　ただ、信和グループはもう一方で1000億円を超える預託金債務も抱えている。RCCと話がついても会員と話がつかなければ“再建”はありえず、債権放棄もムダになる。RCC以外の金融機関についても同様だ。これらの点はどう解決するのか。

　信和グループではこれから「株式化や永久債化などで会員の皆様のご協力を頂きにお願いに上がる予定」（同社経営企画室）だという。そもそもハワイの資産売却がなければRCCの債権放棄もあり得ない。売れるまでの間に方法を考えて会員との話し合いに入るようだ。

　株式化にしろ、永久債化にしろ、ネックになるのがコースに設定された担保だ。担保設定がある限り、いつ金融機関から競売されてしまうかわからないという不安を払拭できない。

　その意味でもRCC以外の他行との交渉状況も気になるところだが「順次話し合いを進めている最中」（経営企画室）。

　今回はRCC側からの単独発表だっただけに、信和グループはまだ交渉段階、もしくはこれから交渉に入る、という段階のようなのだ。

「何しろ最大の債権者であるRCCとまず話を付けなければ何もスタートできないのは当然でしょう。他の金融機関や会員についてはこれから、となるのはやむを得ないでしょう」（大手都銀回収担当）。

　RCCは昨年から、整理して回収するだけでなく、再建可能な企業については再建を支援していく“再生機能”も加わり、専門部署も発足。既に発足から1年で87件の再建支援を実施したが、それでも17万件ものRCCの全案件からするとほんの一部。しかも過去、ゴルフ場経営会社では再建支援の実績はなかった。

　今回RCCが初の“ゴルフ場経営会社の債権放棄”に踏み切った背景には、銀行の不良債権処理策の一環で、再生専門の『産業再生機構』が誕生したことと無関係でないと見る向きもある。『産業再生機構』が誕生してもRCC内の“再生機能”はそのまま継続されるため役割がダブる可能性がある。そもそもRCCの再生機能は弱いから新たに『産業再生機構』を作る、という論理展開はRCCにとっておもしろいわけがない。

　それでは今後もゴルフ場経営会社の債権放棄はあり得るのか。RCCは「あくまで債務者次第」だと言い切る。一定の手当をすれば再建が可能かどうか、それだけの経営能力があるかどうかで判断するそうだが、“再生機構”というライバルの登場が少なからずRCCのスタンスに影響を与えていくことは確かだろう。