週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
「今年はお客さんを店内に呼び込み、手に触れさせるような画期的なもの、目新しいモノがなかったですね」(ゴルフギアサージ西神戸店・梅田竜彦氏) 例えば、2年前はERC(キャロウェイ)やユーティリティクラブ。昨年は各社の高反発系クラブ、ゼクシオ、ウレタンカバーボールというように、店頭を賑わせる話題の新製品があった。たしかに、そうした時代を画する新しいコンセプトの用具が今年は少なかった。 そして、結果的に残ったのは、「ゼクシオの独り勝ちといった感じですね。とくにアイアンは、1年を通じでダントツです」(コトブキゴルフ・指田政則氏)ということに。同クラブのヒットの理由は、年齢や力量を問わず幅広い層に受け入れられた商品力、大手メーカーがこれ一本に絞って展開した営業力にあるようだ。客層の全く異なる百貨店でも「売れ筋のサイクルが年々短くなる中、Sヤードとゼクシオは息の長いヒットです」(阪急イングスうめだ・ゴルフ用品売り場)と話す。 Sヤードについては、メーカーの百貨店中心の販売戦略。そして、買い替え需要をにらみ2年前後で新クラブを販売する商品サイクルが、実に上手いという。 「爆発的なヒット商品はありませんが、品薄になる売れ筋は他にもありました。でも、その期間が短いので、売れる時期にそれをいかに揃えるかがポイントでした」(前出・指田氏)。 今やヒット商品のサイクルは「1~2カ月」(阪急イングス)とか。市場をリードする爆発的なヒット商品がない分、売るほうは大変なようだ。 そうした状況を業界に詳しい片山哲郎氏は、「今の市場でヒットさせるには商品力と、それを説得力をもって顧客に伝える販売活動が欠かせなくなりました」と分析する。 後者はつまるところ、最新のクラブ・マッチングシステムと、その計測時間中(通常20分は要する)のスタッフのコミュニケーション能力にかかると言う。 そして、今年鳴り物入りで登場したナイキが、期待された結果を挙げられなかったのも、そこに原因があったと見る。 「日本の市場構造に合った売り方ができなかったからでしょう。でも、ナイキはいずれ来ると思いますよ」(片山氏) 最後に、来年にかける期待だが、ショップが一致して挙げるのは話題性のある大物クラブの登場。そして、それがないなら、売れ筋商品の寿命を少しでも伸ばそうとするメーカーサイドの広告や営業活動だという。 一方、片山氏はオープン価格化の広がりと、それが市場に与える影響に注目している。「ボールはすでにアムズィーIIとゼクシオ、エブリオ以外はほとんどオープン価格。クラブでは現在主だった所ではテーラーメイドくらいしかないオープン価格ですが、この流れはいずれクラブにも波及するはずです」 となると価格はショップ次第。当然、売れ筋もショップ次第ということに。ショップの気苦労は今後ますます大きくなる?