週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
「継続するプレー回数の減少という経済的な逆風とゴルフ用品に対する需要減少を合わせ考えると、経費削減に向かわざるを得ない」と語ったのは、約100名の従業員のレイオフを発表したキャロウェイ社のL・ドーマン広報担当副社長だが、米ゴルフ界のリセッションの兆候は用品界にとどまらない。 深刻なのは、ゴルフ場ビジネスも同じ。米国最大手のゴルフ場チェーン、アメリカンゴルフ社が経営危機のために、投資銀行グループに身売りされたかと思ったら、今度は米ナンバー2、全米で200コース強のコース運営を行うクラブコープ社の方も、年間2000万ドルの、人員カットを含めた経費削減計画を発表し、注目されている。 ゴルフ界が不況に陥り始めたのは、「90年代にはゴルフ場の開発が活発化して数が増えたのに利用者数はほとんど増えなかった」(ナショナルゴルフファンデーション、J・トンプソン広報部長)からと言われる。 実際、タイガー・ウッズがマスターズで初優勝した97年から3年間で米国のゴルフ場数は1万6010から1万7108(今年6月時点では1万7816)へ6.8パーセントも増えているのに、ゴルファー人口は2640万人からわずか30万人増えただけ。加えて、昨今の経済不況で、そのゴルファー人口が減少し始めたとも伝えられ、ダブルパンチとなっているようなのだ。 こうしたことから、米ゴルフ界では、業界のトップが集まり、ゴルフサミットが開催されたり、ジュニアプレーヤーを育成する「ファーストティプラグラム」に力が注がれたりと様々な活性化の動きが見られるが、そんな中、先頃発表された米ゴルフマガジン誌がNGFなどと協力して調査を行なった。2000名を超える熱心なゴルファー(年間25ラウンド以上)に、都合135項目の質問を尋ねるという、この手の調査では過去最大のもの。 ゴルファー人口減少を食い止め、プレー回数を増やすには、正確なゴルファー像を捉えておく必要があるということだろうか。 同誌の調査では、米国のゴルファーは、年間2382ドル(約29万円)をゴルフに費やし、1ラウンドの平均スコアは91.9。ただ、これは先術した通り熱心なゴルファーに限った数字だ。一方、もっと幅広いゴルファー層を対象にしたNGFの調査では、ゴルフに費やすお金は910ドル(約11万円)。90を切るゴルファーは全体のわずか22パーセントで、男性が97で女性が104、全体ではちょうど平均100になる。そして、この平均スコアはここ10年ほとんど変わっていない。 本来なら用品が進歩しているのだから、平均スコアもよくなってもいいはずだが、ゴルフ不況もこの辺の数字と関係しているようだ。つまり、全般的な傾向として上級者ほどプレー回数も多いし、ゴルフに費やすお金も多いからだ。卵が先か鶏が先かの問題はあるがゴルファーの腕が全体的に上がれば、プレー回数も増えるのではないだろうか。実際、米ゴルフマガジン誌のアンケート調査によると、シングルプレーヤーは、年間平均92ラウンドで、3277ドル(約39万円)も費やしている。 そのほか、同誌のアンケート調査の中からユニークなデータを紹介しよう。なんと14パーセントものゴルファーがお金を払わずにゴルフ場に忍び込んでプレーをした経験があると答え、もっと驚きなのは、なんと8パーセントのゴルファーが(シングルプレーヤーでは18パーセントが)ゴルフ場でセックスしたことがあると答えているのだ。米国ゴルファーのモラルも地に落ちたということかもしれないが、ゴルフ場でセックスするくらい大胆なゴルファーのほうが、不況の風を吹き飛ばしてくれるのかも??