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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/10号
2002年更新
ミサワリゾート、UFJ、野村の3社が
合同でゴルフ場買収目的のファンド設立
 ローンスター、ゴールドマンサックスなど外資ファンドの独壇場であるゴルフ場買収。“和製”組で健闘しているのは太平洋クラブとオリックスくらいだが、この度、新たにゴルフ場買収を目的とする“和製”ファンドが誕生することになった。

 今回誕生するのは、ミサワリゾート、UFJ銀行、そして野村証券グループの投資会社の野村プリンシパル・ファイナンスの3社共同出資によるもの。UFJはミサワグループのメインバンクであり、野村証券はミサワリゾートの主幹事証券会社。しかも、野村プリンシパル・ファイナンスは年内にミサワリゾートが実施する増資を引き受け、第2位の大株主になる予定で、その縁が取り持った組み合わせだ。出資割合は、ミサワリゾートが2パーセント、UFJ銀行と野村プリンシパル・ファイナンスが49パーセントずつ。ミサワリゾートは、同社の100パーセント子会社が出資に参加する形をとる。

 この3社の出資で『投資事業有限責任組合』という投資組合を設立し、出資金で経営難のゴルフ場を買収、買収したゴルフ場の運営をミサワリゾートで請け負って再生を図る。経営が改善され収益が上がったら、3社に配当が回る。ミサワリゾートは出資はわずか2パーセントなので、配当もわずかになるが、運営受託手数料は得られる。資金は主に銀行と証券会社系の投資会社が出し、実際の再建は全国ですでに約20カ所のゴルフ場の運営を受託しているミサワリゾートの手腕を活かそうというわけだ。

 買収対象のコースは「法的手続きを取ったコースのみ」(ミサワリゾート・星野幸男取締役)で、外資のようにまず抵当権付きの債権を買ってから買収に進むというようなことはしない方針だという。

 早ければ年明けにも買い取りをスタートさせる予定だが、「運営に改善の余地があるコースを狙っていくので、いつまでに何コース買う、という目標の立て方はしません。あくまでいいコースが出てきたら買いに入るというスタンス」(星野氏)なので、買収が決まる都度出資者は資金を出すことになる。

 ファンドの規模は50億円程度を想定、「7~8コースは買える」(星野氏)と見ている。数十コース単位で買いに入るローンスターやGSなどの外資に比べると規模は小さいが、「思ったような収益が上がらなければ簡単に再転売してしまうような外資に比べると安心感はあるのでは」と見るゴルフ場業界関係者もいる。

 同ファンドもそのあたりをセールスポイントにしていくようで「儲からないからすぐ売り払う、ということは考えていません」(星野氏)と言う。

 そこで気になるのが、このファンドの“期間”。現段階では8年間で、それ以降最長2年間の延長が可能となっている。逆に言えば、10年間は売らない代わりに、10年後には資金を3社に返すために何がしかの手当が必要になる。その場合、どこかへ売却することになるのでは?

「最初は3社の出資でスタートしますが、実績が上がり軌道に乗ってきたら出資者を広げることも可能です。収益が上がれば自ずと健全な投資家が集まってくるもの。株式上場とか、改めて出資を募るとか、収益体質がいいコースになっていれば選択肢は多いはず」(星野氏)。

 民事再生など法的手続きを申請したコースでは、集客確保の必要性からプレー権の保護は既定路線になっているのが現状だ。しかし、そのプレー権はあくまでスポンサーの一存にかかるという不安定なもの。将来、来場者数が増えたら反故にされてもおかしくない。それだけに、法的手続きに入ったコース経営会社の管財人にとって、どこまで会員のプレー権保護の約束を守ってくれるかは、スポンサーを決める上で、買収額と同じくらい重要な要素になる。

 外資による買収が急増している昨今たが、外資が買収したコースの中には、収益の改善が見込めないことを理由にすでに再転売されるところも出てきている。その点、儲からないと何をするかわからないイメージが強い外資よりも、今回のような純和製のファンドのほうが管財人、ひいては会員の信頼を得られやすいのも確かだろう。

 50億円の資金では外資と競合するところまでは期待できそうもないが、実績が上がり資金規模が拡大すれば、それも不可能ではない。また、現在でも外資間で価格面での競合はあるにしろ、将来の信頼性での競合は少ない。外資の独壇場に風穴が開くことで、信頼面での適正な競合が生まれれば、会員にとってもメリットは大きいはずだ。

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