週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
大会開催週の月曜日に今季2勝目を挙げて完全復活を強く印象づけた中嶋常幸が月曜日に背筋痛のため欠場を届で出たのに次いで、翌火曜日には、目下賞金レースのトップを突っ走る谷口徹が体調不良を理由に欠場を表明し、主役不在という雰囲気で今年のカシオワールドは幕を開けた。 さらに、翌日、ジャンボ尾崎がスコアの過小申告で失格。14番パー4で3パットのボギーとしたジャンボのスコアを、マーカーの伊沢利光がうっかり「4」と記入。この日、1バーディ、4ボギーの87位タイに相当する内容だったジャンボは伊沢から渡されたスコアカードにまったく目を通さず、あっさりとサインをして提出してしまったのが失格の原因だった。 2日目には、中年の星と話題を集めた昨年の優勝者、室田淳 が体調不良で棄権したが、大会に追い討ちをかけたのは、3日目スタート直後にコースを襲った豪雨だった。 9時15分に第1組目がスタートした時点では小降り程度だった雨が、2番ホールの同組がセカンド地点に来たところでバケツをひっくり返したような豪雨となり、中断。その後も雨は止まず、プレー続行不可能との判断で競技は54ホールに短縮することになった。 これによって賞金加算額は75パーセントに減額となるため、賞金王争い、シード争い、今年から賞金ランク20位から25位以内にカテゴリーが改められた次週の日本シリーズの出場権にも微妙な影響を与えることとなった。 賞金ランクトップの谷口を1500万円余り(海外獲得含む)の差で追う2位の佐藤信人は、大会終了翌日に米ツアーのQスクール受験で渡米するため、日本シリーズは欠場。佐藤にとってはカシオが今季の最終戦にとなる。 「優勝したい。まわりも期待しているし、今週の目標は明確」と優勝、そして賞金王獲得に意欲を燃やしていた佐藤だったが、2日目を終えて首位のB・ジョーンズの12アンダーに対して佐藤は4アンダー。 優勝賞金2800万円は25パーセント減額で2100万円となっても優勝すれば谷口を抜くことは可能だが、「あと1ラウンドになってしまっては、8打差はとてつもないですね。さらに上に12人もいるし難しいですね」と佐藤は顔を曇らせた。 同じく4アンダーで2日目を終えた片山晋呉は、谷口との賞金差は約4900万円。減額されてもカシオ、日本シリーズ(優勝3000万円)と連覇すれば、00年シーズンの再現となる大逆転となるが、やはり、「今日の雨で(自分の)賞金王はなくなったと思います。8打差ですから」と白旗ムード。 結局、逆転賞金王の可能性を残していた佐藤と片山はそれぞれ33位タイと9位タイに終わり、主人公不在のまま、今季賞金王は谷口徹に決定した。 佐藤は「ワールドクラスの人(谷口)と同等に争えたのは、いい1年だった。谷口さんは世界に出ていける、賞金王にふさわしい選手だと思います」 谷口は三井住友VISAを左肩痛のため欠場。しかし、予選ラウンドをタイガー・ウッズと同組でまわることになったダンロップフェニックスには参戦していたが、再三肩を気にする仕草を見せていた。 同じ週に行われていた女子ツアーの最終戦、LPGAチャンピオンシップでは、不動裕理と藤井かすみが最後まで賞金女王を争ったのとは対照的な展開となった。