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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/17号
2002年更新
来季男子ツアー日程発表、不景気の影響で
大幅に発表遅れるも賞金額は13パーセントアップ
 米PGAツアーの2003年トーナメント日程がようやく発表された。例年だと8月中にも発表される翌年のスケジュールだが、今年はアメリカの経済環境の悪化が災いし、師走の声を聞いてようやく、日程発表にこぎつけたのだ。

「私たちは、非常に強力なスポンサーとトーナメント運営団体を持つことができ、2003年のPGAツアーも素晴らしいシーズンになると楽しみにしている」と語ったのは、T・フィンチェムコミッショナー。

 実際、来シーズンは全試合の賞金総額も約13パーセント、2640万ドルアップして2億2500万ドルになる模様。試合数に関してはエアカナダ選手権とSEIペンシルベニアとミケロブ選手権がなくなり、新たにワコヴィア選手権とドイツ銀行US選手権とクライスラー選手権が新設され、数字上は今年と同じフルの48の公式試合を抱え、賞金もアップしているのだから、不況の風は、どこ吹くものと思われるが、日程発表がここまで持ち越されたのには理由があるのだ。

 不況と言われているアメリカで、賞金総額がアップしているのを不思議に思う向きもいるかと思うが、この賞金アップはすでに決まっていたことなのだ。どういうことかと言うと、米ツアーでは、来春からTV各局と2007年から4年契約の放映権交渉に入るが、これに先立つ従来の契約で、来年も含めた毎年の賞金アップ率をほぼ決めてしまっていた。

 つまり、PGAツアーはすでに放映権料を手にしており、この中から賞金アップ分に充填させているのだ。とすると、スポンサーには負担がかからないようにも思えるが、放映権が値上がりしている分だけ、CM料金なども大きく値上がりし、来年で言えば、スポンサーは1試合750万ドル程度とも言われるスポンサー料をパッケージで購入しなければならなくなっていたのだ。しかし、不況の中で、毎年値上がりするこのパッケージ料を、スポンサーが支払い切れなくなり、今年は契約更新を打ち切るスポンサーが続出。結局、新スポンサーを探すのに時間がかかり、来年のスケジュールを発表できなかったというわけだ。

 最終的に失ったスポンサーは全部で10社以上。各スポンサーとの交渉の詳しい中身は明らかでないが、結果的には、冠スポンサーが決まらないまま日程が発表されている試合が6試合もある。たとえば、今年までついていたキヤノンがスポンサーを降りたため、冠スポンサーが決まらないグレーターハートフォードオープン、また、ヒルトンヘッドで開催されるザ・ヘリテージは、地元の自治体が接待税を2倍にするなどして税金収入で試合を継続させているが、そういった試合は、今後新たにスポンサーを探すのか、あるいはPGAツアー自らが何らかの形で開催費用を補填することになりそうだ。

 一方、日本の会社で主に海外で電化製品を販売する船井電機(フナイクラッシック at ウォルトディズニー)など、7試合で新しい冠スポンサーがデビューする。この中には、T・ウッズがホストになるのではないかと言われていたドイツ銀行US選手権や、バンクオブアメリカ・コロニアル、フォード選手権といったインターナショナルブランドの企業も名を連ねている。

 そうした意味では、「スポンサーグループの質が上がったので、今後5年~10年、安心していられる」というフィンチェム・コミッショナーの言葉もわからないではない。しかし、スポンサー契約は、3年契約のところが多く、このままアメリカの景気後退が続けば、今後もスポンサーから脱落する企業が出てくる可能性があり、今年だけで7試合ものスポンサーが代わったことを考えれば、まだまだ予断を許さない。

 とはいえ、タイガーの席巻ぶりは相変わらずだし、加えて、1月の開幕戦のメルセデス選手権には、今年18名の初優勝組を加えて、この試合では史上最大のプレーヤー数になるなど、若手の躍進も見逃せない。米PGAツアーは、見所という点では、確かに来シーズンも盛り沢山なのだが……。

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