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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/24号
2002年更新
“主役不在”のツアー最終戦を
独りで盛り上げた片山の完成度
 今季の国内男子ツアーの最後を飾り、賞金ランク25位以内と各ツアーの優勝者と前年度優勝者というエリートのみが出場できる日本シリーズ。いくつかの“マイナス要素”で大会の盛り上がりが心配されたが、片山晋呉が、出場選手の中では、賞金ランク最上位の意地を見せ、4日間トップを守る完全Vでツアー最終戦を締めくくった。

 沖縄オープンがなくなったことで、昨年からツアー最終戦となったこの大会。理想を言えば、女子の最終戦、LPGAツアー選手権での“不動VS藤井”の熾烈な賞金女王争いのような展開が最大の見所であったはず。しかし、ご存知の通り、前週のカシオワールド終了時点ですでに谷口徹の賞金王が決定。しかも、その谷口が体調を崩し欠場するアクシデント。さらに、現在日本人の中で世界ランク最高位の丸山茂樹も、米ツアーでの優勝による資格があったが、右肩痛で欠場するなど、正直“主役”不在の感は否めなかった。

 また、日程的な問題もある。毎年この日本シリーズの週は、米ツアーの来季出場権を賭けたQスクールのファイナルに当たる。当然、米ツアーに挑戦しようとする選手といえば、国内のトップクラスの選手。今年は前週までの賞金ランクで言うと、2位の佐藤信人、3位のD・ウイルソンが挑戦。さらにはQスクールのセカンドから受験した8位の久保谷健一、11位のS・レイコック、15位のS・K・ホ、19位のC・ペーニャの4人が皆そろってファイナルに進んだ。その結果、賞金ランク25位以内の出場資格保持者の内、6人が欠場、ツアー最後を飾るエリートの大会にしてはいささか精彩を欠く状況を強いられた。

 しかし、この日程が変わらない限り、今後も毎年このジレンマは続くことになるのだが、日本ゴルフツアー機構では「難しい問題ですね。日程を調整しようにも、米ツアーのQスクールの日程が決まるのは例年、その実施年の6月から7月。日本のツアー日程は前年に決まってしまってますからどうしようもないですね」と話す。

 来年から開幕の時期も例年より遅くなりそうだし、そもそも敢えてこの寒い時期での開催を考えると、現実問題としては難しいが、全試合の日程全体を早められれば理想なのだが……。

 それはともかく、3日目、最終日は気温6度前後と、まさに寒風吹きすさぶ中、サンタクロースなどのバッジを日替わりでハットにつけるなど得意のパフォーマンスで大会を盛り上げたのが片山晋呉だ。

 大会前「この試合は勝つ」との公約を有言実行。年末時点でのワールドランク50位以内に与えられるマスターズ出場権もほぼ確定した。

 それにしても、通算19アンダー、2位のD・スメイルに9打差のぶっちぎり横綱相撲。片山本人も「調子が良すぎるので、初日のラウンド後の練習で(コーチの)江連(忠プロ)さんに『頂点に行くとあとは落ちるだけ。明日良くなるように、練習ではそんなにいい球を打たないように』とアドバイスを受けた」と言うほど。

 8年前から片山のコーチをしている江連も「すべての面において、ゆっくり、ゆっくりと完成されてきたという感じ。一昨年、賞金王になったときが完成まで80パーセント。今は95パーセント。あとの5パーセントは、僕たちが最終的に目指している“メジャーで今のゴルフができるかどうか”だけ」とその完成度に満足する。

 また、これまで長年クロスハンドだったパットのグリップを3試合前から“順手”に戻したことで「長いパットも狙えるようになったし、今までパットだけ“別物”という感覚だったのが、順手で打てるようになったことで、ドライバーからパットまでひとつのつながりができるようになった」のも、今後に向けて大きなプラス要素だろう。

 オフは来年の2月までまったくゴルフはしないという片山。「やり続けていると、慣れというか新鮮味がなくなる。やらない時間を作ることで『ゴルフがやりたい』という気持ちをマックスに持っていきたい」

 ともあれ、終始片山の強さだけが目立った試合だが、最終日、少しでも喰らいついていく選手がいなかったのは残念だった。

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