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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 12/24号
2002年更新
亡き母に捧げるはずだった全豪プロで
スコア提出せず失格したJ・デーリー
 優勝者より予選落ちの選手のほうが注目される珍現象が、海外2試合で同時に起こった。ひとつは13歳の少年が欧州ツアーに出場するという快挙。そして、もうひとつはお騒がせ男ジョン・デーリーにまつわる話だ。

 まず、最初の少年とは台湾出身のロー・シーカイ君。出場したのは先のアジアツアーと欧州ツアーの共同開催の香港オープン。10月に香港アマに優勝したことで出場権を得たのだが、これまでの欧州ツアーの最年少参加記録は、S・ガルシアが持つ15歳。記録の保持者が、あのガルシアで、しかも最年少記録を2歳も縮めたのだから、注目されるのも当然だろう。

 結果は「緊張していいプレーができなかった」そうで、初日、2日目と73を叩いて予選落ち。しかし、ハンディ3のロー君、今年の台湾ユースカップでは62も出しているし、「自分が欧州ツアーの最年少記録を作ったなんて知りませんでした。とても名誉に感じています」と受け答えも中学生とは思えないしっかりしたもの。将来有望な選手として、香港オープンの話題を独占したというわけだ。

 もう1人、予選落ちしても、試合の話題を独占したのは豪州プロ選手権でのジョン・デーリーだ。正確には予選落ちではなく、スコアカードにサインをせずに失格になっているのだが、75・78のスコアで、サインをしていても予選落ち確実。そのため、アテスト・テントに寄らずに帰ってしまい、失格となったものだ。もっとも、お騒がせ男デーリーだけに、普通ならこの程度のことでは話題にもならないのかもしれない。しかし、この試合、実は試合前からデーリーは注目の人だった。

 というのも、この前週のBMWアジアンオープンの試合中に、デーリーは母親ルー・デーリーさんの訃報を手にしていたからだ。そしてルーさんの遺言もあり豪州プロに参戦していた。「母のために、この試合には勝ちたい。今年の7月以来、ゴルフに集中できずにいた。僕の心は全英にも全米プロにもなかった。母がガンであることを知って、呆然となり練習どころではなかった。今年はシーズンの初めは調子がよかったけど、中盤戦からはガタガタ。母が苦しまずに逝ってくれたことと、母の世話をするための時間を割けたことがせめてもの救いだった。(諦めがついたことから)先週の日曜日は、久しぶりにいいラウンドができたんだ」と試合前にデーリー自身が語っていたことから、この試合の注目株になっていたのだ。

 2日目前半は32で回るなど、予選カットも楽々クリアかと思われたが、13番でティショットを左の池に入れ、そのドロップ場所を巡り、C・パリーとG・ノーマンから間違いを指摘されてから調子が狂ったようだ。このホールと18番でのトリプルボギーを含め、最終6ホールだけで9オーバー。優勝するつもりの試合で大叩きしたのだから18番でパターを池に投げ込み、サインもせずに帰りたくなる気持ちもわからないではない。

 デーリーは5600ドルの罰金を支払い、謝罪した上で、翌日、母親の葬儀のためにアメリカに帰国した。そういえば、デーリーは92年の豪州マスターズでもスコアカードにサインせず失格になったが、大叩きで失格というのは、いかにもデーリーらしく、考えようによっては、やっと本来のデーリーに戻った?

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