週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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　今回の陳情には、日本ゴルフツアー機構（JGTO）の島田幸作チェアマン、鈴木規夫エグゼクティブディレクターや、日本女子プロゴルフ協会の岡本綾子、石崎越子両副会長らも参加。ゴルフ振興議員連盟会長で、自民党税制調査会長の相沢英之議員の他、廃止運動に理解を示す衛藤征士郎、阪上善秀衆議院議員、後藤田正晴JGA会長の甥である後藤田正純参議院議員、さらには「廃止反対」の総本山でもある総務省の片山虎之助大臣など、自民党の衆参国会議員13名に要望書を手渡した。

　要望内容は、大きく次の3点。（1）将来、ゴルフ場利用税は廃止する。（2）標準税額を現行の800円から400円に引き下げる。（3）身体障害者、20歳未満及び学生である者、65歳以上の者は非課税とする、というもの。すでにこれは8月7日、後藤田正晴JGA会長、東北福祉大4年の宮里優作らが、ゴルフ振興議員連盟に提出している。今回の陳情は、自民党税調の最終局面を迎え、大詰めの活動として行なったものだ。

　面会した阪上善秀衆議院議員は「選挙区の兵庫県では、ゲートボール場を整備した市町村で、医療費が抑制できるという結果も出ている。朝、病院に行く代わりにスポーツをすることで、健康促進にも医療費削減にもつながる。ゴルフにも当然そうした効果がある。議論は税収減を恐れる都道府県や市町村が反対するという図式だが、将来的には撤廃分は国が補助金を出せばいいと思っている。そうすれば地方にも利用者にも喜ばれるし、医療費の削減を考えれば国にとってもメリットは大きい」とし、税制調査会で意見として取り上げることを約束した。

　ゴルフ場利用税廃止運動推進本部事務局の鈴木知行氏によれば、「廃止運動は5年目を迎え、阪上先生に限らず、理解を示される先生方が増えていると実感しています。実際に陳情後に行なわれた自民党文教部会の税務調査会でも、党税制調査会でも、ゴルフ場利用税について、多くの委員から廃止の意見が提出されたとも報告されています」

　そうした影響もあってか、12月3日の党の税制調査会では継続審議とすることが決定、前述した通り、要望が来年の税制改正の対象となるかどうかの決定は13日まで持ち越された。

　今回、陳情に初めて参加しLPGAの岡本綾子副会長は、「昔から不思議に感じていたのは、この税金の高い日本で、娯楽にまで税金がかけられるということです。しかもその税金が、どのように使われているか、私たちにはなかなか見えてこない。スポーツであるゴルフに税金がかけられることについてひとまずおくとしても、税金を支払っている以上、何にどのような形で使うかまで意見を言い、チェックするのもゴルファーの役目ではないでしょうか」と話す。

　またJGTOの島田幸作チェアマンは、「今回の要望は、廃止を目的とした第一歩としては、現実的な要望だと考えています。いかにゴルフをしやすい環境をつくるかは、国民の健康にもかかってくる問題です。JGTOとしても、今後もできる限りの協力はしていきたい」と、今回の陳情に一定の手応えを感じたようである。

　もっとも、いかに国会議員に理解が深まりつつあるとはいえ、今回の要望が通り、ひいてはそれが将来的に利用税の廃止につながるかとなると、否定的な見方も多い。というのもこの問題に対しての抵抗勢力は、なんといっても安定税収の確保を目指す都道府県、市町村であり、それを統括する総務省でもある。

　しかも今回の自民党税制調査会では、外形標準課税、発泡酒に象徴される酒税、たばこ税など、地方税に関する問題が焦点となっており、当然のことながら反対の声は大きく、安定財源である利用税については、現状維持との声も聞かれる。そのためゴルフ場利用税廃止運動推進本部では、秋から連日、永田町詣でを続け、要望を訴えてきた。

　それにしても、いかに歳入不足とはいえ、税金は取れるところから取るとの姿勢はあまりにも安易だ。国民10人に1人というゴルファーが不条理な税金を払わされ続けているという基本を論じてもらいたいものである。