週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
35年の歴史を持つ日本女子プロ界。欧米はさておき、アジアから選手を受け入れることはあっても、ツアーとしては最強を自負していたはずの日本の惨敗。だが、これはメンバーを見ればある程度予想できた。 賞金女王、不動裕理を欠き、頼みとする唯一の米ツアー現役福嶋晃子は肋軟骨などのケガで満身創痍。元気なのは賞金女王争いのプレッシャーから解き放たれた藤井かすみくらいで、後は蓋を開けて見なければ勝ち星が計算できない。そんな日本チームを尻目に、過去2回の敗戦の雪辱に燃える韓国は最強のメンバーで大会に挑んだ。 日本ツアー参戦の先駆者、ク・オッキが主将。過去4つのメジャータイトルを持つパク・セリ(米女子ツアー今季賞金ランク2位)をはじめ、キム・ミヒョン(同4位)、グレース・パーク(同6位)らトップ10以内の3人、さらにハン・ヒーウォン(同14位)、グロリア・パーク(同21位)らの米ツアー主力組がズラリと名を連ねる。そのほか、日本ツアーで活躍するク・オッキとコウ・ウスンは、ふたりで今季日本でのメジャー3戦を総ナメにしており、こちらでも強さをアピールしていた。 そのメンバー相手に初日のホールマッチでは10対14の少差ながらリードを許した日本は、2日目に必死の巻き返しを図った。だが、勝てたのは主将対決を制した岡本綾子を含めて12人中4人だけ。最終的には12ポイントの大差で敗北を喫してしまった。 ところが、大会に突入しても選手の間には「本当は日本のほうが強いはず」というムードが蔓延。主将の岡本だけは「負けるかもね」と選手に向かって漏らしていた。もちろんリラックスさせるためもあったのだろうが、状況を的確に捕らえていたともいえる。「アメリカや日本で活躍している選手が多く、選手層の厚さが勝因ではないでしょうか」とク・オッキ主将が勝因を分析。 敗軍の将、岡本も「(韓国は)海外で活躍する選手が多い。今年に限って言えば、総合力が日本より上なんじゃないかな」と素直に同様の事を口にしたが、まさにその通り。自国のツアーでは賞金が十分に稼げないという事情があるにせよ、どんどん海外に出て行って強さを貪欲に追求してきた韓国選手がその力を証明したといえる。 「韓国勢は来年また、米ツアーにいく人が増えると聞いている。日本の選手も、もちろん個人の自由だけれども、(海外に)出て見聞を広めるという必要性も感じたと思う。今回、それなりの刺激を受けたでしょう」と岡本が語った通り、いくら国内ツアーで争っていても所詮は井の中の蛙。そのことを痛感した選手がどれだけいただろう。 今回の大敗で、刺激されないようでは将来は暗いのだが。