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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 1/7・14号
2003年更新
銀行の不良債権処理の加速などで
倒産続々も「再生」方法に関心向く
 02年のゴルフ場業界は、極めて厳しい現実になった。とくに9月以降、民事再生法を中心に法的整理ラッシュが続き、帝国データバンクによれば、ゴルフ場会社の倒産件数は100件を超え、負債額も2兆円を突破、いずれも過去最悪となった。

 背景には、金融機関の不良債権処理の加速化がある。とくに9月以降の倒産ラッシュは、11月の中間決算を睨んだもので、霞山CC、鳴沢GCなど銀行主導のものが目立った。さらに03年4月、可決要件の緩和など、手続きの迅速化を図る会社更生法の改正が予定されており、それを見据えての駆け込み申請との側面もあった。現時点では民事再生法が主流だが、03年以降は会社更生法申請も急増することが予想されている。

 さて、02年、業界を震撼させたのが2月、国内30コースを展開する最大手、スポーツ振興の倒産だ。グループ全体の会員数は6万5000人で、97年に和議申請した日東興業の7万2000人に次ぐ規模だ。このスポーツ振興の会社更生を申請したRCC(整理回収機構)だが、11月には国内8コースを展開する信和ゴルフに対し、海外所有コースと国内遊休資産の売却を条件に、初めて債権放棄するなど、柔軟な姿勢も見せ始めた。ゴルフ場全体で、かなりの債権を持っているだけに注目すべき動きといえる。

 さて、そのスポーツ振興のスポンサーに名乗りを挙げたのが、米大手投資銀行のゴールドマンサックス(以下GS)だ。すでに01年暮、日東興業の全株を取得しており、一躍、日本国内60コースを展開する最大手に躍り出た。GSの動向は、今後日本のゴルフ場に大きな影響を与えることが必至で、その判断材料になるのが日東興業の再生計画だろう。買収後、和議から民事再生に切り換え、03年1月末に債権者集会を予定している。

 ここで決まる再生計画が12月に明らかになったが、一般債権は97.5パーセントカット。再生計画の認可を条件に、グループ12社に対する162億円の債権放棄、一般債権約100億円の弁済、再生計画とは別の金融債務の肩代わりを行なう他、グループ12社を合併させて3~5年後の株式上場を目指すという。預託金が97.5パーセントカットされる会員だが、プレー権の保護と、希望者には上場予定の新会社の株式を、時価で割り当てる方針も盛りこまれている模様だ。

 02年の話題といえば、なんといっても、あの川奈ホテルの民事再生法申請だろう。再生計画に基づき、8月1日にはコクドに売却。以後、料金割引など会員特典を一切引き継がず、完全パブリック制に移行という、会員にとっては厳しい内容での再スタートを切った。だが、つねにコースランキングのトップに位置する人気コース。大島コースに乗用カートを導入、同コースに限り宿泊客以外でも日帰りプレーができることなどを積極的にアピール、稼働率は旧経営時代の2倍を達成するなど、幸先のいい再スタートを切った。外資の席捲ばかりが注目される日本のゴルフ業界にあって、国内企業の生き残り、再生手腕という観点からも、コクドの戦略は今後の試金石になりそうだ。

 国内企業といえば、太平洋クラブとホウライの業務提携も話題になった。これは太平洋クラブが経営する太平洋アソシエイツのヒルクレストコース、シャーウッドコースの2コースと、ホウライのホウライCC、西那須野CCが提携、平日に限り双方の会員が割引料金でプレーできるというもの。02年は4大メガバンクが出揃った年で、提携の背景には旧住友と縁の深い太平洋と、旧三井系列のホウライといった関係もある。

 また、ゴルフ場運営を展開するミサワリゾート、UFJ銀行、野村證券の3社は「ゴルフ場再生ファンド」を設立。当面は50億円規模のファンドだが、法的整理、運営に改善の余地のあるゴルフ場を条件に買収し、ミサワリゾートが運営にあたるというものだ。外資にはハゲタカファンドとの異名を取り、再転売を警戒されるものも多い。それだけに規模こそ小さいものの、この和製ファンドへの期待も大きく、早ければ03年早々には第1号が登場する予定だという。

 ここ数年、ゴルフ場の倒産ばかりが取り沙汰されてきた。しかしながら03年は、一歩進んで「再生」をキーワードにしたいものである。

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