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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/4号
2003年更新
クラブからウェアまで一新のE・エルス
開幕戦でいきなり31アンダーのツアー記録V
 前年度の優勝者だけが集う、米ツアー開幕戦のメルセデス選手権は、アーニー・エルス(南アフリカ)が圧勝した。T・ウッズが欠場、“鬼の居ぬ間の”勝利とはいえ、2位に8打差、ツアー記録の31アンダー。タイガー・ストッパーとしての今年の活躍が期待されるのも無理はない。

 今回の開催コース、ハワイのカパルア・プランテーションコースは風が名物のコース。それが、この4日間はほとんど風らしい風が吹かなかったという予定外の天候だったというとく“ハプニング”が起きたという事情はある。とはいえ、調子はまずまずだったのに25位タイに終わってしまった丸山茂樹が「ここのグリーンの目には本当に苦しめられた。これだけ必死にやってるのに、入ってくれない。ここは『人を不幸にするコース』ですよ」とタメ息交じりに漏らしていたほどのコース。

 しかも、これまでの72ホールの米ツアー最少スコアレコードは、01年ボブホープクラシック(5日間競技)でのJ・デュラントが4日目までの4ラウンドで29アンダー、4日間競技では28アンダー(J・ヒューストンの98年ハワイアンオープンとM・カルカベキアの01年フェニックスオープン)だった。それを一気に3打も更新するスコアは圧巻。さらに注目すべきは、優勝したエルスは、昨年末でテーラーメイドを離れ、タイトリストと契約、同社のクラブを公式試合で初めて使用したにもかかわらず、あれだけのプレーができたということだ。

 まだ、市販はされていないが、タイトリストの「983K」という新ドライバーと同社の新ボール、「プロV1x332」(プロトタイプ)との相性がいいのかもしれないが、エルスのティショットの飛距離は、なんと最長で376ヤード、4日間平均で323.4ヤード。最終日、2位のチェ・キョンジュに追い上げられた土壇場の12番、373ヤードのパー4では、あわや1オンという場面も。もちろん、この飛距離は出場選手中トップ。

「タイガーがいなくてツアーが寂しくなるなんてことはないよ。もう1カ月くらい、休んでくれていても良いくらい」などと冗談を飛ばしていたエルスだが、その一方、まじめな顔で、「今大会では、いいプレーができることを自分自身に証明したかった。(この調子の波に乗って)どこまでいけるかが本当に楽しみだ」と語り、自信を隠さない。

 これまで、エルスといえば、過去全米オープン2勝、全英オープン1勝の実績が物語るように、難コースで手堅いプレーを見せて優勝するパターンが多かった。しかし、今回はこれまでとは大きく異なり、米ツアーでのエルスの自己記録、4日間で19アンダー(01年コンパッククラッシック)を、28バーディ、4イーグルというタイガーばりの爆発力で一気に12打も縮めたのだから、新生エルスに一層の期待がかかるというわけだ。しかも、今回の優勝でワールドランクではP・ミケルソンを抜いてナンバー2に。やはり、タイガーの年間グランドスラムを阻止できるのは、昨年同様エルスとなる可能性は十分にある。

 もともとこのメルセデス選手権は、その年の活躍のバロメーターであるともいえることは、表をご覧になればおわかりだろう。実際、過去10年、この開幕戦で勝った選手は、皆その年の賞金ランクでベスト15入りを果たしているように、まずまずの成績を残しているのだ。

「メンタル面でも、肉体面でも、進歩し続けている」(エルス)と言うのだから、“新生エルス”は要チェック。タイガー vs エルスのバトルが今年のメジャーの焦点になりそうだ。

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