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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/4号
2003年更新
相場低迷で入会金緩和傾向にあるなか
入会時に“作文”の提出義務付けた函南GC
 会員権相場の低迷が続き、入会条件は確実に緩和の方向に向かっている。アクティブな会員の確保を容易にするためだが、そんな中、静岡県の函南ゴルフ倶楽部では、入会希望者の申請書類を新たに追加した。

 追加された書類は「入会の動機」「自分とゴルフ」「クラブに望むこと」の3点ついての“作文”である。なにやら入社試験の応募作文を思わせるが、大変珍しいケースだという。

「まったく初めて聞きますね。関西では入会手続きの前に事前申請書を提出させるゴルフ場はありますが、その内容は経歴が中心で、今回のようにゴルフに対する姿勢などを書くものではありません」と言うのは都内の会員権業者だ。

 では、なぜわざわざこういった書類を書かせることになったのだろうか?

「昨年8月の会員総会後、理事会の中の総務委員会の発案で面接をスムーズにするために導入しました。入会時に理事との面接で、クラブの過去の経緯などを説明していますが、前もってゴルフ観や希望を知っていれば、面接の席上で返事や説明をしたり、運営の改善ができますから」(函南GC・近藤専務)

 確かに申請書類として提出を義務付けている所はなくても、面接ではこうした内容を聞かれることは少なくない。それに同GCの過去には紆余曲折があったという特殊な事情も関係しているだろう。同GCは昭和46年にオープンしたが、オイルショック後の不況で預託金問題が発生し、別法人化するなど不安定な状態を経て、一時は経営に携わった者があの豊田商事にコースを売却する話にまでなっていってしまった。そこで会員有志が賛助金を出し合って、株主会員制にして建て直し、現在に至っている。そのため、同GCの正会員は譲渡のできない終身会員で、株主会員として市場での譲渡が認められているのは賛助会員である。

「面接の席上でも、なるべく会員総会への出席をお願いしていますし、今回の提出書類もそうですが、株主としての意識、経営に参加している意識をより強く持ってもらうのが本当の目的ですね」(近藤専務)

 実施したのは昨年の10月からなので、すでにこの間、15~16件の入会があったが、ちなみに動機の中で目立ったのは、「仲間がいるから」「JRの函南駅からクラブバスが出ているから車の運転が億劫になる年齢になってもプレーが続けられる」などの内容。また、クラブへの要望で多いのは、「乗用カート化が進み、少人数時代であっても人的なサービスの質は保ってほしい」など、楽しい雰囲気の中で、長くゴルフを楽しみたいというのが会員になろうという人の大半の希望だという。

 最近は資金不足から会員名簿の発行も少なくなっているが、同GCは3年毎と決め、今夏発行を決めている。経済状況を反映し、ゴルフ場も集客に手一杯で会員の待遇までは気が回らない所も多い。そんな中、過去に“産みの苦しみ”を味わって、自ら会員としての権利を勝ち取ったという体験があるせいか、これから入会しようという、いわば外部からの視点をクラブ運営に活かそうという姿勢は、他コースも参考にすべきではないだろうか。

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