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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/4号
2003年更新
再三の営業権移行のゴタゴタ続く旧・津GC
今度は全国初の適正化法違反で書類送検
 7万2000人もの会員を集め、社会問題化した茨城CC事件の反省から、平成4年に施行された「ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律」(ゴルフ場適正化法)。「時代錯誤」との指摘もあった同法だが、施行から10年経ち、この度、全国で初めて同法違反の疑いでゴルフ場経営会社社長や、法人としての会員権業者が名古屋地検に書類送検された。

 書類送検されたのは、(株)津ゴルフ倶楽部の加藤征宏社長ら3人と、募集業務を手がけた名古屋の(株)ゴルフ流通センター(小早川啓次郎社長)。愛知県警捜査4課の調べでは、加藤社長らは共謀の上、平成4年以降、同法で義務づけられていた通産省(当時・現経済産業省)への届出をせずに、会員募集をした疑い。ちなみに津GC(三重県)は平成2年のオープン。これまで正会員1980名、平日会員480名と公表されてきたが、後述する、営業譲渡された樹王CC(経営母体・(株)KSC)によれば、4030名の会員が存在するという。

 もっともゴルフ場適正化法では、無届募集(3条違反)についてのペナルティは50万円以下の罰金。募集業務停止の行政処分の可能性もあるが、「この不景気に、しかもすでに大量の会員を集めたゴルフ場にとっても会員権業者にとっても、痛くも痒くもない」(某会員権業者)内容。この点について会員権問題に詳しい中島章智弁護士は、「世論を背景に作ったのはいいが、議員立法で突貫的に法制化したため、どうしても欠陥がある。それも、これまでこの法律が適用されることのなかった理由のひとつ」と解説する。

 にもかかわらず今回、愛知県警があえて書類送検した背景には、どうやら同GCの不透明な経営交代劇があるようだ。

 というのも、同GCは前述のように昨年10月から樹王CCとして営業している。そもそも一昨年5月、津GCの営業権を(株)KSCが取得。その後、今度は(株)津GCの加藤社長ら前経営陣が、KSCに対し営業権の返還と撤退を求める事態に。これを受け、KSCはいったんは営業権返還を決定するが、一方で5月29日には、(株)津GCからKSCにゴルフ場所有権が贈与によって登記され、6月には営業権の返還を白紙撤回した。そして前経営者からの商号使用の差し止め請求もあり、樹王CCと改称し現在に至っている。

 ところが、10月にはKSCの山口悟オーナーと(株)津GCの加藤社長が、ゴルフ場とは直接関係ないものの、同じ事件で強制執行妨害により逮捕されるという事件も起き、現在公判中。そんなことから、「営業権譲渡の根拠となる金銭貸借は架空取引ではないか」との声が会員から挙がり、さらにKSCが津GCの会員に対し、樹王CCへの移籍登録料として求めたことから、1200人規模で「津GC会員の権利を守る会」(高山順一会長)が結成される事態となっていた。

 ちなみに、移籍登録料は一定期間内に移籍した会員には平日30万円、個人正50万円、法人70万円で、それ以降の移籍には、この他に45万円、105万円、150万円の入会金を求めていることから、前出の「守る会」の高山会長は、「私たちは今回の書類送検を単なるゴルフ場適正化法違反とは見ていない。県警の捜査4課だけではなく、国税も強い関心を示しているとの情報もあり、架空営業譲渡による詐欺事件、巨額脱税事件に発展する可能性もあり、その証拠固めのための書類送検だと確信している」と話す。

 なお、守る会では、すでに会員有志により「有限責任中間法人 美里」の設立準備に入っている。今後はKSCについては詐害行為取消権に基づきゴルフ場施設の土地建物を(株)津GCに戻すことを求め、(株)津GCについては破産を申し立てることで、最終的には競落によりゴルフ場を会員のものにする方針だ。

 当の樹王CCでは、ゴルフ場適正化法違反の問題については、「(株)津GCの問題であり、当社がコメントする立場にはない」(KSC・岸川真也専務)としつつ、「営業権の取得は正当なものであり、これはどこで調べてもらってもやましい点はない。我々は会員のプレー権を守るという使命から営業権を引き受けたものであり、守る会の皆様の利益と対立するものではない。1月より年会費を支払って頂ければ、移籍しなくてもこれまで通りの扱いをさせて頂くし、徐々に会員の皆様への理解も広がっていると確信している」(前出・岸川専務)と話している。

 ちなみに現在、樹王CCへの移籍は550名としているが、守る会では「実際は100名弱。移籍に応じる会員が少ないために、今度は年会費集めを狙ったのだろう」(前出・高山代表)と冷ややかな見方だ。

 いずれにせよ適正化法違反をきっかけに、これまでの不透明な経営と経営交代の真相が、明らかになることに期待したい。

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