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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/18号
2003年更新
破綻し未完成のコースの会員権ローンは
支払わなくてもよいという異例判決の影響
 会員権をローンで買ったが、ゴルフ場は結局完成せずじまい。なのにローンだけ払い続けなければならないというのはおかしい、という会員権購入者の主張を認める異例の判決が出た。

 訴えていたのは、プリムローズカントリー倶楽部(埼玉県比企郡)の会員権をローンで買った会員7人。相手のローン会社はさくら信販(現・あさひ銀リテールファイナンス)だ。

 一般に、会員権をローンで買っている場合、工事が止まったり、会員権の発行会社が倒産したりでコースが開場しなくても、会員はローンを払い続けなくてはならない。ローン会社は会員になり代わって、すでに会員権購入代金全額を会員権発行会社に支払ってしまっているからだ。

 このため、会員は会員権発行会社に対しては預託金返還請求訴訟を起こすこともできるし、基本的には裁判に勝つこともできるが、ローン会社相手にローンを払う義務がないと主張しても原則的には裁判には勝てない。

 ただ、「モノを買うのにローンを使う場合、例外的に2つのケースに限り、借り手側が勝てる場合がある」(ゴルフ場問題に詳しい船橋茂紀弁護士)

 ひとつはローン契約の中で、商品の引き渡しがないなどの問題が生じた場合には支払わなくてよい、という特約が入っている場合。そしてもうひとつが、商品を販売する会社と、ローン会社が結託して購入者を騙している場合だ。

 過去には、ゴルフ&カントリークラブグランマリヤの会員権を、オリックスクレジットから借りたローンで買った会員が、オリックスクレジットに勝訴した例がある。1審ではオリックスクレジットの勝訴、2審では会員の勝訴、最高裁では結局オリックスクレジットが勝ったが、2審の東京高裁が会員勝訴の判決を出した理由は、前者のローン契約の中にあった特約だった。

 オリックスクレジットの契約書には、商品の引き渡しがなかったり、商品に瑕疵、つまり欠陥があった場合などにはローンの支払いを中止できるという特約が付いていた。東京高裁は、ゴルフ場が開場しないということは、商品の引き渡しを受けていないことになる、という会員の主張を認めたわけだ。

 だが、今回のプリムローズの件は、後者の理由、つまり販売会社とローン会社が結託しているケースで会員勝訴の判断を下しており、後者のケースで会員の債務不存在を認めた判例は、「おそらく知り得る限り初めて」(船橋弁護士)と言う。

 プリムローズCCと言えば、山口敏夫元労働大臣の実弟である根本勝人氏が社長を務めていたことで有名な会社だ。当初は平成4年開場の予定だったが、もともと工事が遅れていたところへ、平成7年12月、旧東京協和、安全両信用組合の不正融資事件を巡り、山口敏夫氏が逮捕され、その後、根本社長自身も逮捕されたことで、同社は事実上機能不全状態に陥り、ゴルフ場工事もとん挫していた。「プリムローズのメインバンクの旧埼玉銀行(現・あさひ銀行)が、積極的に会員権販売の勧誘をしたから会員になった」という会員も多く、銀行員が禁止されている会員権の販売の勧誘をした、という銀行法違反であさひ銀行を訴える動きもあったが、結局あさひ銀行の責任は認められずじまい。

 今回の判決では、プリムローズカントリー倶楽部とは、提携ローンを組むほどの関係だったのだから“ゴルフ場計画が履行されないことを予見できた。仮に予見できなかったにしても、親会社の旧埼玉銀行に聞けばわかったはず”にもかかわらず、ローン付けをしたとの判断を下したのだ。

 あさひ銀行リテールファイナンスは「判決内容を十分検証し、高裁に控訴するかどうかも含め、今後の対応を検討している」(同社広報)が、もしも高裁へ控訴した場合には結論は高裁の判断待ち。

 旧埼玉銀行の責任まで認められたとは言い難いが、ローン会社の責任は認められたのだから、会員にとってはようやく一矢報いたといったところだろうが、まだ1審段階。この裁判の行方は大いに注目される。

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