週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
まずは、今期の売上げ目標の110億円をとっくに突破し、さらにプラス10億円、20億円と売上げを伸ばしているのが、ミズノの発熱・吸湿機能を備えた繊維素材「ブレスサーモ」の商品群。9年も前から同社のスポーツウェア全般に採用され、今では457アイテムで商品展開されているのだが、ゴルファーの間では、寒気が強かった今冬にアンダーウェアが大ブレーク。全商品合計で前記の売上げの伸びを記録中。冷え込む消費を尻目に、こちらはまさに冷え込み知らずといったところか。 このミズノは予想売上げの数10パーセント増ということになるが、「当初予想の2倍くらいの感じ」と担当者が明かすのが、通称「たこティ」と呼ばれる(株)タバタの「リフトティ」。 昨年、片山晋呉、ジャンボ尾崎ら人気プロの使用をきっかけに大ブレーク。今や、安い予算で少しでも飛ばしたいゴルファーの間ですっかり認知された感があるが、同社に問い合わせると、「ショップと問屋さんから、引っ切りなしにかかってくる催促の電話に応対するのが、目下の毎朝の日課。本当に、嬉しい悲鳴を挙げている状況です。現在、増産体勢を整えているところで、品薄状態はじき解消できると思います」と担当者。 つぎは、キャスコの「キャデットタイプ」のグローブ。同じサイズのグローブでも、指の部分だけを短くしたモデルである。手のひらの大きさで合わせると、グローブの指先が余ってしまうと悩むゴルファーに受け入れられてのヒット。革製と合皮で1型ずつラインナップされているのだが、「同じ型の商品で、指の長さが普通のものと、このキャデットタイプがありますが、昨年秋口からキャデットが売れ始め、今では半分強の割合にまでなりました」(グローブチームディーラー・広瀬正美氏) 「確かに2つのタイプを並べて販売する店舗では、どちらも同程度の売上げになっています」とゴルフ5の本社仕入れ担当者も好調な売行きを証言する。 実は、キャスコでは10年も前に、同じように指の短いタイプを販売したことがあった。しかし、その時は「指短め」「普通」「指長め」とタイプ分けして並べた。ところが、この「指短め」というあからさまな表記が、「コンプレックスを刺激したようで……」(広瀬氏)とユーザーに受け入れられなかったという。 それを「キャデット」(仏語で“弟分の=小さめの”といった意味)というネーミングで再登場させたら、この売行き。アイデアの勝利といったところか。現在、ショップでは品薄までは至っていないが、社内在庫では底をつきかけたサイズもあるそうだ。 最後は、初年度の当初目標2万5000足を3.2倍も上回る8万足を販売したダンロップのゴルフシューズ「デジソール」。シューズでこれほど予想を上回る大ヒットは、同社でも初めての経験だったらしく、モデルによっては昨年一時期品切れになり、その対応にてんてこ舞いしたそうだ。 「その頃に、雑誌撮影用で貸し出しを依頼されたのですが、モノがなく、今はお客様が優先だからと融通できずに大変に困ったことがありました(笑)」(広報部・藤田英明氏) ヒットした理由は、いわゆるソフトスパイクを上回るグリップ力を実現したラバーソールの材質と形状。それでいて、疲れにくく快適な履き心地にあるという。 実際のユーザーから「黒のデザインがオシャレだし、従来のスパイクと違って鋲がないため、ラウンド後に履き替えずにそのまま履いて帰ることもできるのがいい」といった使い勝手の良さを指摘する声もある。 実際、ゴルフ以外のタウンでも愛用している人もいるようだ。本来そうした使い方は雑菌をコースに持ち込む元になるので、避けた方がいいのだが……。 さて、今年はどんな隠れたトレンド商品が誕生することだろう。クラブやボール以外にもアンテナをめぐらせてみるのも面白そうだ。