週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
中軽井沢CCと多度CCの2コースを経営していた多度軽井沢開発(株)が、親会社の大日本土木の倒産に伴い民事再生法申請したのは昨年7月。このほど再生計画案が明らかになり、預託金は98パーセントカット、多度CCには東建コーポレーション、中軽井沢CCにはユニマットホールディングスという和製スポンサーがつくことになった。 一時期積極的に買収を進めていた太平洋クラブもひと段落したし、きみさらずGL(旧・真里谷CC)など5コースを相次いで買収したオリックスも動きが止まってしまった。そんな中、国内の会社で積極的に買収を仕掛けていくのではと見られる動きをしているのが、前出のユニマットホールディングスだ。オフィスコーヒーサービスでお馴染みのユニマットオフィスコを中核企業とする、ユニマットグループの持ち株会社である。 グループ会長の高橋洋二氏は、平成3年にオフィスコーヒー会社・ユニマットを買収、現在ではこちらが本業になっているが、もともとは貸金業で身を立てた人物。昨年、手塩にかけて育てた消費者金融会社・ユニマットライフを米国・シティコープに900億円で売却したため、平成13年の全国高額納税者番付で前年の13位から一挙にトップに躍り出たことで有名になった人物である。 自らがリゾート開発を進めていた宮古島の上野村に移り住んだことから、上野村の住民税収入が7500万円から一挙に2億4600万円へと3倍に増えたことで話題になり、その、上野村の開発終了とともに、今度は小浜島の竹富町に引っ越し、上野村の住民税収入が元に戻って、竹富町では税収増を見込んで町役場の新設計画まで持ち上がっていることも、テレビで何度か取り上げられている。 ユニマットグループは沖縄に2カ所ある自社開発のゴルフ場以外に、レインボーヒルズCC豊里コースを、約40億円ある預託金債務付きで取得している。今回は民事再生で預託金がカットされた中軽井沢CCのスポンサーに就任、パブリックの多古CCの買収もほぼ決定するなど、本格的にゴルフ場買収を積極展開するつもりではないかと思うような動きを見せているのだ。 ところが高橋氏本人は、「従来不動産中心だった投資の選択肢を少し広げただけ。ゴルフ場に積極投資していく、というつもりではない」という。冗談なのか、本気なのか、今回の中軽井沢CCの買収についても「このところ外資ばかりが買っていくからちょっと邪魔してみただけ(笑)」と語るが、もうこれでゴルフ場の買収は終わり、というわけでもなく、「運営上のスケールメリットを考えると、都心から1時間10分くらいの距離の所、例えば千葉あたりに5コースくらい買えるといいかもしれない」とも。それならば取得に動くコースの条件はというと、これも結構曖昧だ。 「預託金問題のことを考えれば、法的手続きを経てカットされていることは前提条件」としながらも、「開発段階から関与し、会員権も持っていたので最終的に引き受けた」レインボーヒルズは、法的手続きを経ず、40億円の預託金債務付きで5億円、実質45億円で買収したという。 自社開発だった沖縄の2コースも「リゾート開発事業で縁があったから。でもまったく儲からない」という。当然勝算もなく投資をしているわけではないのだろうが、少なくとも経済合理性と資金力を背景に、積極的な買収を続ける2大外資の対抗馬になるほど積極的に買うつもりはないようだ。ちなみに「会員は顧客であると同時に、新たな顧客を連れてきてくれる営業マンでもあると考えているので大切にしたい」そうだ。