週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
人口12億人の中国だが、現在開業しているゴルフ場は、北京、上海を中心にまだ200コースに満たない。国土の広さはまったく違うが、日本でいえば昭和35年頃の数。しかし、昨年だけで40ほどの新設コースがオープン。ゴルフ人口も年率30パーセントという勢いで急増中と言われる。もちろん用具・用品のゴルフ市場も同様のペースで拡大している。その勢いにさらに拍車をかけそうな要因がいくつかある。 ひとつは日本ツアーのシード選手でもある中国人プロの張連偉が、1月に欧州・アジアの両ツアー共催のカルテックスマスターズを制覇したこと。この快挙で、より多くの国民がゴルフに注目するようになった。また、この14日から、香港に近い深センで日本とアジアのチーム対抗戦ダイナスティカップが開催され、ここでも熱い視線が注がれることだろう。さらに、08年の北京五輪に向け、政府はゴルフを強化種目に指定。ゴルフ協会が本格的な選手強化に乗り出したこと。そして、大学(深セン大学)にゴルフ学科が新設されたり、米国の有名ゴルフスクールが進出するなど、育成分野が整いつつあることも、今後のブームの呼び水になるはずだ。 こうした状況に、日本のメーカーも将来を睨みながら新な展開を始めた。中でもミズノは、上海ミズノという子会社を設立。ここを拠点に、3年間で現在の約2.5倍に当る550店にまで店舗拡大する計画だ。 「ゴルフ用品では、クラブを中心に卸売りベースで01年は15億円、02年は20億円を売上げ、今後の伸びについては未知数ですが、倍々で伸びる可能性もあると見てます」(広報課) ブリヂストンスポーツでは、昨年4月、業界に先駆けて深センでボール工場を稼動させた。現在、販売は代理店に委託している段階だが、強いブランド力があるので、流通・市場の状況が整えば、いつでも本格的に乗り込む用意はあるという。 同じくダンロップも、これまではマレーシアにある子会社を通じて中国への販売を行ってきたが、この2、3カ月以内に中国本土の代理店と契約して販売を開始するという。 ところで、中国ビジネスで最大のネックなのが、代金回収だそうだ。関係者に本音を聞けば、口をそろえて「今の中国ではモノを売るのは簡単。代金回収が確実な販売網をいかに築くかが一番の問題」と語る。 その高いハードルをクリアしての中国進出に自信をのぞかせるメーカーが、有名クラブデザイナーの竹林隆光氏が代表を務めるフォーティーンだ。 同社はこの5月にも、中国で現在5店舗を展開している、日本人オーナーの竹田ゴルフを総代理店として、クラブの販売を始める予定だ。 「以前から海外に進出するならアジアと考えていたところ、1年前に先方から話があり、ウチの考えに沿って販売が任せられると感じて決めました。米国でなく、アジア、中国に目を向けたのは、アメリカ市場はすでに成熟しており、参入が難しいため。また、欧米人だと体力が違い、新たに米国仕様を造る必要があるけど、アジア人ならその必要もない」と中国市場参入の理由を語る。 同社は、北京、上海でこの先2年で6~7店舗というゆったりとしたペースで展開、年間6000万円の売上げを目ざす。同時に、竹林氏は中国のゴルフ雑誌で連載も始めるそうだ。市場参入・拡大のカギは中国人のゴルフ、クラブへの理解がいかに深まるかと見ているようだ。