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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/18号
2003年更新
外資大手2社がSTT開発を舞台に争奪戦!?
ローンスター支援の中、GSが更正法申請
 民事再生での再建でポンサーまで決まったのに、別の債権者が会社更生法を申請するという珍事が起きた。この珍事の舞台は、国内に11コースを有し、昨年10月18日に4922億円の負債を抱え、民事再生法申請したSTT開発である。

 大和證券系の大和證券SMBCをファイナンシャルアドバイザーに選定、一次入札に応募してきた十数社をローンスター(以下LS)、ゴールドマンサックス(以下GS)、リーマンブラザースの外資3社に絞り込み、2次入札を経てスポンサーの座を獲得したのは、ゴルフ場買収では今や常連のローンスター。裁判所の同意も得て、昨年12月24日にスポンサー契約を結んでいる。

 普通なら、これでスポンサーが提供する資金の額が決まったわけだから、カット率を決め、再生計画案を会員をはじめとする債権者に提示、債権者集会を経て認可となる。ところが、2月17日、GSが突然、同じ東京地裁に民事再生手続きの中止と会社更生法の申請をしたのだ。

 民事再生の手続きがここまで進んでいる中、更正法の申し立てを受けたSTT開発は「公正な入札で一番条件が良かったLSとスポンサー契約を結んだのだし、そもそもGSも入札に参加したのだから、民事再生で手続きを進めることは了解していたはず。今さらなぜ、という思いです。今後は裁判所の判断に委ねますが、何とか民事再生の再生計画案で認可を受け、会員が安心してプレーできる環境を一日も早く作りたいと思っています」(同社広報)と話す。

 当然、スポンサー就任に水をさされたLSも「今回のGSの行動は理解不能」だとし、不満を露にしている。

 それにしても、STTの債権者は、預託金債権者を持つ会員が45パーセントを占めるが、GSはそれに次ぐ3分の1もの債権を握る大口債権者。そんな大口債権者との間で、STTはなぜ事前に話を付けておかなかったのかという疑問が湧くが、ある関係者は「GSは入札後に終わったあとで債権を買い集めて3分の1にした上で更生法を申請したんですよ。売ったのは最終入札に残っていたリーマンブラザースです」と解説する。

 なぜ今になって更正法の申し立てなのか? 当のGS側の説明はこうだ。

「もともとSTTの再建については、大口の担保権者として協力していくつもりでしたが、STTが突然、民事再生を申し立て、弊社の再生債権の届出を受領拒否するなど、あからさまな敵対的態度を取ってきました。今年に入って、根拠も示さず不当に低い評価で一方的にゴルフ場に対する抵当権の抹消を求め、それが受け入れられないと見るや、わずか2週間足らずで、担保権消滅請求を申し立てるという暴挙に出ました。これらの行為は明らかに民事再生手続きの濫用であり、経営者が生き残りたいがために担保権者と対立的構造を作るという、プレー権確保の前提を危うくする行為です。会員の皆様のためにも、管財人が入った透明性の高い会社更正手続きでSTTの再建を進めていくべきだと考えたのです」

 一般に、民事再生の手続きとは無関係に、担保権者は担保の処分ができるが、ゴルフ場のように競売されたら再建できなくなる場合は、担保権者と個別に交渉し、競売しないでもらう代わりに何年後にはいくら返すという内容の合意書を結ぶことが多い。ただ、民事再生法では例外的に、再建に必要な資産の担保権を外させることができる“担保権消滅請求”という手続きが認められている。もちろん請求を認めるべきかどうかは裁判所が検討するし、簡単には認められない。しかし、この手続きをSTTが使おうとしたことも、GSがSTT側に不信感を強めた一因となったようだ。

 原則的に会社更正法は民事再生法より優先するので、もし裁判所が民事再生の中止決定を下せば、これまでの手続きは白紙に戻り、一から更正法でやり直すことになる。STT側では公正だったとする入札をGS側は不透明だったと感じている。両者の主張を聞く東京地裁は一体どういう結論を出すのか。

 この外資2社は、現在ゴルフ場買収を巡り、熾烈な陣取り合戦を展開中だ。現時点でLSは41コース。GSは61コースと数ではGSが一歩リードしている。

 しかし、外資系スポンサーの2大勢力のつばぜり合いで手続きが送れて迷惑するのは会員だ。会員を大切にしなければ買収後のコース経営もうまくいかないはず。くれぐれも会員への配慮が建前だけにならないように願うばかりだ。

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