週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
ボートウ氏は昨年、前妻と分かれ、現在離婚訴訟の最終段階にあり、彼もグスタフソンも、2人の関係については、直接コメントを出していないが、ボートウ氏がグスタフソンと過去数カ月付き合っているのは、LPGA内部では周知の事実。実際、今年のスーパーボウルに2人で現れているし、パーティ会場にも、いつも一緒に出席しているなどという話は、少なからず聞こえてくる。ただ、ここで問題なのは、離婚が正式に成立していないにもかかわらず、付き合っているとか、ひと回りも違う年齢差とかではない。 「あの2人の恋愛には、問題がある。どちらかは仕事を辞めるべきだ」とあるLPGAのトッププレーヤーが語るように、この2人の関係は、いわば職場恋愛。日本でも、社内恋愛や社内結婚ということになれば、どちらかが会社を辞めたり、あるいは、他の部署に移動するなんてことがあるが、これは結局、利害関係が絡んでくるからだ。コミッショナーと選手の関係については、形の上では選手たちがボスで、ツアーを運営するためにコミッショナーや理事を雇っているということになっているが、現実には選手が問題を起こしたときに、その処分の最終決定を行うのが、コミッショナーとなる。つまり、何か問題が発生したときに、ボートウ氏がグスタフソンのために便宜を払うということが、少なくとも理論上は起こり得るのだ。 また、現場のオフィシャルなどが、ボートウ氏に気を使って、グスタフソンに有利になるように裁定を下すこともあり得ないではない。しかし一応は、LPGAの理事会では、この2人の恋愛にOKを出した。 「これは基本的には個人的な問題。ボートウ氏は、どういうことが問題になるかもわかっているし、そのための準備もできているはず」と元コミッショナーで、現理事のC・フィンチェム氏が語り、M・サリー理事長も「たしかに白黒のはっきりしない部分もあるが、問題は彼がどのように仕事をしているかで、実際、彼はしっかりやっていると思う」ということで、理事会(5人の理事と6人の選手、投票権を持たない2人の選手から成り立つ)では、全員一致でボートウ氏支持を決めたとか。 もっとも、不景気の中でLPGAのテレビ視聴率(前年比20パーセントアップ)や観客数(12パーセントアップ)も上がり、さらには、賞金総額も4パーセントアップさせたという実績がボートウ氏を救っているのも事実で、「これでLPGAが悪い状況にあったら、ひょっとしてトップを替えるいい理由になっていたかもしれない」とサリー理事長が語るように、もっと大きな問題になっていたのかも。 加えて、この問題が理事会で取り上げられたこと自体が、重要だったとする見方もある。少なくともこれで、ボートウ氏がグスタフソンと別れることはないにしても、表立って「エコ贔屓」もできなくなったからだ。 LPGAの選手は、毎週、移動を繰り返し、なかなか恋愛のチャンスがない。そんな中で、コミッショナーと恋愛をするグスタフソンに対するやっかみなどもあるのだろうが、プレーヤーの中に不信感が拭い切れていないのも事実。3月25日付けのUSAトゥデー紙が報じた読者アンケートでは、コミッショナーと選手の恋愛は許されるべきではないという答えが51パーセント。やはり「ソフィー(グスタフソン)の選択」は誤りだった?