週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
日本ゴルフツアー機構(JGTO)は選手のツアーでの獲得賞金から5パーセントを天引きして運営資金に充てる“トップオフ”を導入することを提案、選手総会での承認を得て今季から導入することになった。背景には、JGTOでは各試合のスポンサーから協力費として1000万円を得て運営費に充てているものの、ツアー全体の冠スポンサーだったコンピュータメーカーのイーヤマが昨年末で撤退したため年間5億円と言われる契約料がなくなりツアー運営費に不足が生じたという事情がある。JGTOではイーヤマに代わる新たなツアー冠スポンサーを探しこの難局を乗り切る考えだったが、これが難航、遂に冠が見つからずツアーがスタートする厳しい状況となったのだ。 JGTOの広報によると有給の理事の給与の減額や、東京・赤坂の事務所の賃貸費用の検討などを行ってきたが根本的打開策には至らず、窮余の策としてトップオフの導入となった。選手の賞金の5パーセントをトップオフすることで今季は約1億5000万円(JGAとPGAの主催試合を除く)を確保し運営費に回すことができる。なお、適用は東建ホームメイトカップからで、昨年の暮れにアジアンツアーと共同開催、今季のツアー賞金額に加算される沖縄オープンの賞金分は対象外となる。 今回のトップオフ導入を選手総会で承認した選手会の会長である佐藤信人は「今回のトップオフは例えば会社の経営が手詰まりとなったとき、社員が給与のカットに応じるようなもの。もちろん選手は実質的な収入が減ることに完全に納得はしていないが、苦汁の選択ということ。JGTOには一日も早く新しい冠スポンサーを見つけてもらいたい」と話している。 選手間では、仕方ないとして看過することへの抵抗感を表す意見もあり「一番大事なのは我々が良いプレーをすることだが、ゴルフ界の注目度も落ち込んでいる時代なのだから、もっとツアー側も営業力をつけてスポンサー探しをして欲しい」といった意見も多く聞こえた。 4月からJGTOでは理事長には島田幸作前チェアマンを選出。今回、副理事長に選出された倉本昌弘によれば「冠スポンサー探しが第一の懸案だと認識している。手応えはあるが、全体の冠スポンサーとなると、すでに単独試合のスポンサーとなって頂いている会社と同業他社同士の関係などもはらみ難しい面もある。来季に向け冠スポンサー探しに鋭意努力している」とのこと。 ツアー選手権のスポンサーに森ビルグループが決まり、イーヤマの後釜への期待も高まったが「まだそこまでは話が出ていませんが、今年の大会が盛り上がり、森ビルさんの気持ちがそういう方向に動いてくれればいいのですが」(JGTO)と言うように、それもこれもすべてはツアーの盛り上がり次第であることには違いないだろう。