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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/6・13号
2003年更新
償還期限延長で会員の同意得、返還訴訟も
地裁で勝訴していた鳳琳CCが民事再生申請
 バブル期建設の高級コース、鳳琳カントリー倶楽部の経営会社・都市環境開発(株)(加賀宗一社長)が、4月7日、東京地裁に民事再生法を申請した。負債総額は約243億円、うち預託金債務は約223億円。

 鳳琳CCといえば、預託金の据置期間延長について永野GC、小幡郷GCに続き、いわゆる「有効判決」を3番目に勝ち取った数少ないゴルフ場として知られる。いずれも地裁レベルだが、昨年11月にも有効判決があり、現在はそれを不服とする会員の控訴により、4月24日には東京高裁で判決が下される予定となっている。

 同CCは、バブル最盛期の平成元年にオープン。バブル景気を背景に昭和61年から8次にわたり、800万円(預託金720万円)から7000万円(同6300万円)で会員募集を行い、869名の会員を集めた。しかし、その後、バブル経済が崩壊。平成8年には償還期を迎え、これに対し理事会決議により、会員権の分割とそれに伴う据置期間の10年延長によって対処してきた経緯がある。会員権の分割は、預託金額に応じ正会員1350万円と、平日会員450万円に分割するという内容で、それにより現在会員数は1229名になっている。

 この理事会決議を巡り返還訴訟が相次ぎ、地裁レベルとはいえ会社側が勝つ、いわゆる有効判決を勝ち得て注目される存在になったわけだが、鳳琳CCの場合、特筆すべきはこの理事会決議である会社提案に対し、実に96.1パーセントもの会員の同意を得たことであろう。同社では、預託金問題解決のための新しいシステムの研究会を経営者、会員、弁護士などで発足させ、また徹底した情報開示により、会員に協力を求めてきたのだ。

 据置期間延長は問題の先送りとの指摘もあるが、しかしすべての会員の同意を得ることで、その抜本解決を目指そうという、ある意味、愚直な試みでもあった。しかし、今回の民事再生法申請の背景には、ごく少数とはいえ返還を求める会員の存在があり、やはり法的整理に頼るしかなかったということだろう。しかも複雑なのは、市場で会員権を購入したものの入会しない非会員の返還請求と、訴訟があったこと。巷間言われる「償還ビジネス」といえる訴訟だが、今年3月には東京地裁で、返還命令の判決も下され会社側が敗訴していた現実もある。

「すべての会員の皆様に同意して頂こうと全力を尽くしたが、力不足で法律の力を借りることになった。しかし、あくまですべての債権者に平等で公平であり、また多くの会員の皆様の権利を守るための民事再生申請とご理解頂きたい」(同社・大平憲裕専務)

 数字的に見ても、負債約243億円のうち、金融債務は唯一、京葉銀行に対する20億円弱だが、これについては、「長期返済と金利減免で合意、すでに返済も始まっている。2番抵当だったみずほ銀行(旧富士銀行)の債務は抹消しており、抵当権が行使される心配は一切ない」(前出・大平専務)と、すでに金融機関とは話し合いがつき、今後提出する再生計画でも、これまでと同じ扱いをする方針という。

 残るは約223億円の預託金債務だが、会社側の提案に同意していない会員(債権者)は4パーセントに満たず、債権額にしても11億3400万円。しかし3月の敗訴、また4月24日に予定されている控訴審でも厳しい判決が予想されることから、今回の民事再生に踏み切った。

 この点について、会員権問題に詳しい中島章智弁護士は「未だ高裁で“有効判決”が出た例はなく、逆転敗訴する可能性は高い。鳳琳CCは会員権を分割したようだが、たとえば募集時最高額の6300万円を1人の会員が返還請求しても、ゴルフ場経営が軒並み逼迫している不況下では不可能に近いのが現実だ」と、96.1パーセントという大多数の会員の権利を守る意味でも、今回の民事再生法申請に、一定の理解を示している。

 ちなみに、売上げについては、平成8年には12億5000万円を記録したものの、平成13年は10億5000万円に。また高裁判決についていえば、平成10年5月、鳳琳CCについて会員権の分割と経営不安を理由に、償還期前に返還を求めた会員の訴えを退けた判決はあるものの、いわゆる据置期間の延長を有効とする判決は、現時点で高裁レベルでは現れていない。

 さて、気になる再生計画案の内容だが、「会員の皆様の意見を聞き、またこれまでの研究から、会員の皆様にご満足頂ける自主再建を目指す。かつて入会時にあった、鳳琳のメンバーとしての誇りのようなものを再び取り戻せる内容にしたい」(前出・大平専務)と話す。計画内容については現時点では白紙だが、7月を目途になるべく早い時期に明らかになる予定だ。

 なお、民事再生手続き中も、名変停止は行わない予定だが、これは会員の財産権を守るための措置で、会員権分割、据置期間延長時にも同じように名変は停止しなかった。また、3月の裁判のように、非会員の債権については、会員のプレー権、預託金債権を含む会員権とは違う、一般債権として扱う方針で、これらについては厳しいカット率が予想されている。

 これまで何とか法的整理を避けるべく、ゴルフ場側の提案を呑んでいた96パーセントもの会員、そして会員を説得し続けてきた会社側の努力は報われなかった格好だが、結局会員の同意も100パーセントでない限り、法的整理も致し方ないということなのだろうか。

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