週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
------待ちに待った5年ぶりの優勝、おめでとうございます。 「ありがとう。長い間、勝てなかったので、本当に嬉しいです。優勝争いがこんなに楽しいものかと改めて実感しました」 ------優勝した瞬間何を考えた? 「これが2位と1打差とかならドキドキして“やったぁ!”という気持ちになれたんだろうけど、5打差もあったので18番ではすでに張り詰めたものが弛んでいました。正直、どんなリアクションを取ったらいいかわからず、ちょっと困りました」 ------一番緊張したのは? 「16番のティショット。左右がOBだし、3年前は3日目トップを走っていたのに『9』を叩いた苦い思い出があったので。あそこをパーで切り抜け、優勝を確信しました」 ------で、17番はグリーンの狭い方にピタリ? 「あれはまぐれ。本当は安全にセンターを狙ったけど狭いサイドに乗ってくれた。紙一重で崖下だから、優勝するときは運も必要だということかな」 ------川奈とは相性が良い? 「不思議ですね。好きなタイプのコースじゃないし、コウライグリーンも苦手。なのにこれまで2位が2回、ベスト10入りが5回かな? そして今回優勝と、なぜかいい結果がついてくる」 ------インタビューでは涙が……。 「勝てずに苦しんだ時期が長かったから。昔アジアンツアーでプレーしていた頃も勝てず、オフに故郷のイリノイ州で寒い雪の中、打ち込みをやった辛い時代もあったけど、当時は優勝の喜びを知らなかったのでまだよかった。でも日本に来て、結果が出て、何度も優勝の感動を味わった後でドン底に突き落とされたので、その辛さは以前とは比べものになりませんでした」 ------スランプに陥った原因は? 「他人にスウィングを習ったのが失敗でした。フェード一辺倒だったのをドローも打てるように改造したけど上手くいかなかった。あとは結果が出なくなると、自分で自分にプレッシャーをかけ過ぎて、悪循環を招いたことも……。悪くなると“あのバンカーには入れちゃダメ。OBは打っちゃダメ”と、してはいけないことばかり考えてしまうんです。本当は“あの目標に向かって打つぞ”とその1打に集中し、ポジティブに考えるべきなのに」 ------家族と離れ離れも辛い? 「5年前に長男が生まれてから、家族が来日する機会は年に1回あるかないか。家族に会えず、ひとりで戦うのは辛いです。自分も苦しいけど、たとえば長男がアイスホッケーの試合に出るというとき、父親が見に行ってやれない、という状況が心苦しくて……」 ------スランプから這い上がるきっかけは何だった? 「実は先日、フレッド・カプルスが5年ぶりに優勝をしたのを観て“もしかしたら自分にもこんなチャンスが訪れるかもしれない”とピンときたんです」 ------自らを投影し励まされた? 「そう。自分も5年間勝っていないけれど、その間に培った経験を活かすときは絶対来るはずだと。そうしたら今回は1ホールとか1ラウンド全体を思い煩うのではなく、目の前の1打1打に集中できた。それが勝因」 ------次なる目標は米ツアー? 「ハイ。今年は本気で挑戦します。アメリカでプレーする姿を早く両親に見せたいし、お世話になった日本のファンに恩返しするためにも、米ツアーで活躍することがボクにとっての使命だと思っていますから」