週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
先ごろ、日本のニチレイカップでぶっちぎり優勝を果たしたアニカは、コロニアル出場に対する心情を、「男子ツアーに出るのはこの1回限り。自分がもっと練習し、上手くなるための向上心が得られるから挑戦する。私にとってLPGAが最優先であることに変わりはないが、今回、私が男子の試合に挑戦することで、女性にとって新しい扉が開かれる」と語った。 コロニアルではタイガーとの“男女王者対決”も期待されたが、タイガーは日程の関係と手術した左ひざを休める意味もあり、コロニアルは欠場。しかし、アニカは「私はコースと自分のことで精一杯。PGAツアーにはほかにも素晴らしい選手がたくさんいる。タイガーが出場するかどうかは大きな問題ではない」と話す。 すでに、そのタイガーとコロニアルCCで練習ラウンドを済ませているアニカは「フェアウェイが狭く、グリーンが固いという印象。いつもより手堅くプレーするつもり。グリーンが固いので手前から攻めることになる。出るからには勝つのが目標だけど、イーブンパーで回れれば満足」と抱負を語った。 しかし、こんな“世紀の挑戦”の裏で、PGAツアー選手たちの反応はあまり芳しくはないようだ。その最先端を行くのは、「アニカと同組になったら棄権する」と報じられたV・シンの発言だ。コロニアル前々週のワコビア選手権で、AP通信の記者がロッカールームでシンと交わした会話を世界に向けて発信したことから明るみに出たものだが、アニカ出場に対するビッグネームの反対意見が公に伝えられたのは初めてだったため、全米のテレビは終日、画像とともに流し、新聞は一面で扱うほどの大騒ぎ。 当惑気味のシンは、その後、「自分の真意が異なる意味合いで報道され、残念だ。もし自分とアニカが同組にされたら、PGAツアーから不当に低い扱いをされたことになるからそれは困るという意味だった。個人攻撃するつもりはなかった」と弁明している。 名前こそ出さないが、ほかにも「女性と一緒にプレーしたくないからコロニアルには出ない」という選手や、あるメジャー優勝経験のある選手も「騒がれたくないから、あまり発言したくないけど、どっちかと言えば僕も“反対派”」と語る。 彼らの反対理由のひとつは、男子プロの推薦出場枠をアニカがひとつ奪うことになるという点。実際、コロニアルへの出場資格がない、ある男子選手は「話題性という意味では面白いとは思うけど、女子ツアーがある以上、女子は女子ツアーに出るべき。PGAツアーは男子プロの仕事場なんです。マンデーから実力で出るなら文句ないけど……」と複雑な気持ちのようだ。 一方、日本から参戦している丸山茂樹は好意的で、「あんまり目くじらを立てることないんじゃないですか? 僕は同じ組だったら一緒に回りますよ。アニカのゴルフを見たことがないから是非見たいですね」と話す。 推薦出場枠云々についても、「過去の(高齢の)優勝者とか、有名選手の息子だからといって推薦出場するのに比べればアニカのほうがよっぽど偉い」ときっぱり。 LPGAは「コミッショナーのタイ・ヴォトウ氏を筆頭に、ツアー全体がアニカをサポートしています」とは、アニカの同僚、ドロシー・デラシンの言葉。こうした応援に応える形で、アニカは「コロニアルで得る賞金の半額は、同週開催のコーニングクラシック(LPGA)のチャリティに回す」と話している。 さまざまなプレッシャーの中、果たしてアニカは予選を通過し、賞金を獲得できるのかどうか。世界が注目している。