週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
同GCはオープンから2年後には経営不振に陥り、最大債権者だった日債銀の関連会社が平成7年に傘下に収め、その後、日債銀の破綻に伴い、日債銀が保有していた320億円の債権と、経営会社である(株)阿見ゴルフクラブの株式がRCCに譲渡された。そのRCCが入札を実施して、同社の株券と債権をローンスターグループに売却したのが平成13年7月。それから2年近く、同GCはローンスター系列のコースとして運営されてきた。つまり、日債銀グループが経営権を握った平成7年以降、「圧倒的な最大債権者と経営会社とが一体」という状況が続いていたわけだ。ローンスターに経営権が移った会社側では「懸案の預託金問題解決に向け、民事再生の準備をしていたところ、会員側に更生法で先行された形になった」と言う。 4月の更生法改正で、更生法の可決要件が債権額で3分の2超から2分の1超に緩和され、この点では再生法と同じになった。さらに再生法には債権者人数の条件があるが、更生法には債権者人数の条件がない。 同GCの会員権口数は約300。重複保有者が相当数いることを考慮しても、預託金の債権者数はおよそ200といったところ。再生法を可決するにはその過半数を味方に付けなければならず、同社の約425億円という負債のうち75パーセントを占めるローンスターにとっては、人数の条件が必要ない更生法の方が一見有利にも見える。しかし、「更生法は経営者が交代しなければならないので、原則交代の必要がない再生法を選んだ」(同社)という。 「返すと約束したものを返さずカットするのは正しいことでないのは承知しているが、預託金問題を抱えたまま経営を続けることには無理がある。現経営陣で過去2年間、経営の改善に努めてきたし、赤字幅が縮小するなど成果も上がってきている。現体制でやらせてほしい」というのが会社側の言い分だ。 ただ、もともと日債銀の破綻に伴い、会員自らがコース取得などを希望していたにもかかわらず、RCCが入札を実施する際に会員側に声をかけなかったなど、会員側の不満の根は深い。債権額ではローンスターにはかなわないのに、敢えて更生法を選んだのも、「運営委託している、ローンスターグループのパシフィックゴルフマネジメントに2年間で1億2000万円もの手数料が支払われており、現経営陣への不信感は拭えない」(会員側代理人弁護士)ためとする。 勝算については「最大債権者と経営者が一体である今回のようなケースでは、他の一般債権者と最大債権者を同列に扱うべきではないということ。そして日債銀の破綻処理の一環でRCCを経由してローンスターに渡ったコースである以上、破綻処理そのものに公的資金が投入されたからこそローンスターは取得できているということを、裁判所がどう判断してくれるかにかかっている」(同弁護士)と見ているようだ。 とりあえずは更生法と再生法、どちらで行くのかは裁判所の判断待ち。だが、再生法が破棄されて更生法になっても、会員側の目論見を裁判所が受け入れなかった場合には、結局金額で勝るローンスターの意向に沿う形での再建になるだろうし、再生法になったらなったで、会社側がどのくらい会員を取り込めるか次第で雲行きは変わってくる。 会社側は「昨年2月の名変再開以来、ローンスター傘下のコースであることを承知の上で50名以上の会員が名義書換に応じており、過去2年の実績を冷静に判断してもらえれば、わかってもらえるのでは」と言うのだが、まだまだ二転三転もあり得るだろう。