週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
賞金総額1億円、優勝賞金1800万円のヴァーナルレディースは、他の平均的なツアー競技と比べ、3日間競技ながら約2試合分のビッグマネーが稼げる“おいしい”大会。国内のメジャー大会以上の賞金がかかるとあって、この試合に勝つことはマネークィーンレースの大きなアドバンテージになる。賞金ランク上位の選手たちほど、したたかにこの大会での優勝を狙っていたはずだ。 そんな中、昨年こそ賞金ランク7位に終わったものの、過去賞金ランク2位が2回、3位が3回の実力者、クがVをさらっていったのだから一大事だ。開幕戦Vで早くも4年連続賞金女王の座は安泰かともてはやされた不動裕理も、2週連続優勝で一気に賞金レース独走態勢を作りかけた韓国の若手、イ・チヒも、あっという間に賞金ランクトップの座を奪われてしまった格好だ。 これでクの今季獲得賞金総額は2500万円を超え、ランクもトップに浮上。本人も「この優勝はすごく大きいですね。これで今年は賞金女王の確率、高いですね」と会心の笑顔を見せる。46歳にして、今季は開幕戦から1ラウンド62の快スコアもマーク。並みの選手ならピークを超えて下り坂に入ろうかという年齢で、これまで以上の結果を残すパワーの源は何か? 「シーズンオフも別に今までと変わったことをしてきたわけじゃない。まあ普段と同じことを続けているだけなんですよ」と言うが、その“普段”がすごい。00年後半から悩まされた坐骨神経痛にいいと医者に勧められて始めた腹筋運動の回数は日になんと600回。 「毎日200回を3セットしています。インターバルは5分か10分程度かな。今日(優勝が決まった日)ももちろんやりますよ」と本人はこともなげに話すが、1年365日やり続けるというハードトーレーニングぶりは、世界の女王アニカ・ソレンスタムにもひけをとらないのでは。 開幕戦2日目、国内女子ツアーの歴史を塗り替える『1ラウンド11バーディ』と『62』を出した当日、「今年は体の調子もすごぶるいい。たくさん優勝したいし、パッティングさえよければ不動さんにも負けない自信はあります」と語っている。 85年ツムラ・五木クラシック2日目に大迫たつ子が記録して以来、昨年まで、延べ32人が9バーディのタイ記録を積み重ね、どうしても破れなかった“1ラウンド2桁バーディ”の壁を、18年ぶりにあっさり破ってのシーズンイン。それだけを見ても、今季のクはさらにその強さに磨きをかけたと想像がつく。 米ツアーでの優勝経験もある大ベテランだけに、賞金女王レースも白熱化。また日本ツアー初Vの85年紀文レディースから通算22勝。優勝の記者会見席上「賞金女王以外の目標は……30勝、行きたいですね。あと3年くらいが勝負かな」と、あと8勝で届く“永久シード入り”の野望も初めて口にした。 世界を席巻中の韓国女子プロの“元祖”とも言えるクが、40代後半という年齢をよそに、目標実現へ驀進中だ。