|
|
|
週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
|
週刊ゴルフダイジェスト 6/10号 |
2003年更新 |
外資系では初、日本プロ開催の美浦GCが
プレー時の諸経費も無料のユニーク会員募集
|
片山晋呉が優勝した日本プロ選手権の会場となった茨城県の美浦GC。その一角に設けられたホスピタリティテントが連日の人だかり。外資系コースとして生まれ変わった美浦GCが、トーナメント会場で会員募集を行なったのだが、これが予想以上に盛況だったのだ。
「雨宿りや、猛暑のためにテントを利用された方もいましたが、多くのギャラリーの方々が新しい会員募集に高い関心を抱いてくださいました」とは、同GCの運営会社、パシフィックゴルフマネジメント(株)(以下PGM)の広報担当者の弁だ。入会金90万円、預託金110万円、年会費12万円という内容で、限定100口の募集だが、トーナメント開催コースということもあってか、すでに100口に近い事前申し込みがあったという。正規募集受付は6月1日からだが、この事前PRにより募集に自信を深めたようだ。
美浦GCといえば、もともとはセゾン系列の旧(株)ゴルフ西洋(その後、プレミアゴルフ(株)に社名変更)の経営だったが、この株式はドイツ銀行を経て、米投資ファンドのローンスターグループが取得、その後、民事再生法を申請。現在はローンスター100パーセント出資の子会社、PGMが運営にあたっている。
「日本プロ開催コースという人気もありますが、会員権を持ちたいという、とくに30~40代の潜在需要を掘り起こしたものと思っています。ほとんどPRを行なわなかったにもかかわらず、人づてで多くの人が訪れてくれました。会員はグリーンフィ無料はもちろん、日本のゴルフ場特有の諸経費もかかりません。カートフィはかかりますが、手引きカートを持ちこめば利用税だけでプレーできます。しかも、年間で土日祝日3枚、平日3枚のグリーンフィ無料のゲスト券もつき、練習場でややもすれば月に1万円も使うゴルファーなら、年会費12万円も安いでしょう」(前出・広報担当)
実は、外資系だけあって、欧米のような入会金のみの会員募集も考えたそうだ。しかし、あえて110万円を預託金にしたのは、やはり日本人には預託金制のほうが馴染みが深く、安心感があること。そして預託金はプレミアゴルフ(株)が預かり会社となり20年の据え置きだが、それについては100パーセント親会社であるローンスターが責任を持って返すとしている。とかくゴルフ場転売の危険性が噂される外資系ファンドだが、あえて日本に腰を落ちつけて活動することを強調、預託金制度を採用したようだ。今回の新募集について、従来の会員からの反発はなく、むしろ「会員の皆様からは、日本プロを開催するまでに生まれ変わった、という高い評価をいただいてます」としている。
このような、純粋にゴルフがしたいという層への会員権としては、今年1月から太平洋クラブ(株)が、系列16コースが利用できる「太平洋クラブパーソナル会員」を募集、こちらも順調という。募集金額は360万円で、すべて入会金。一代限りの会員権で、名義変更は不可。不慮の事故、死亡により利用できなくなる場合を想定し、保証期間10年、最高で300万円支払われる傷害保険に加入し、保険料も入会金に含まれている。
「300口の募集ですが、すでに5月時点で250名を超す入会申し込みがありました。30代後半から40代前半の若い世代や、また将来は会員権を相続されるであろう、会員のご子息の入会が多いです。年会費はありませんが、保険でいうなら掛け捨てという感覚とでもいうのでしょうか、とくにゴルフをしたいという若い世代に好評をいただいています」(同社・広報部)
10年利用したとしても、月々3万円。もちろん10年以上利用すれば、月額換算による負担はもっと安くなる。募集は、10月末日まで行なうが、定員300名で打ち切るそうだ。
民事再生により、昭和グループから、(株)三栄建設グループの経営になった群馬県ルーデンスCCでは、4月から入会金5万円(無額面=消費税別)のみの正会員を募集している。
5万円は現在の相場との兼ね合いから設定したが、低額ということもあって、すでに100名近くが入会した(定員は300名)。
36ホールの同CCは、民事再生申請時7700名の会員がいたが、預託金返還請求権を放棄して新たなクラブに移行したのは約4000名。約3700名が預託金の1パーセントの返還により退会した。今回はその補充募集だが、「預託金制度、会員権に投機目的を見出す、日本の悪い風習を絶ち切ろうというのが、今回の目的です。会員権は利用してこそ価値があるし、ゴルフ場はプレーしてこそ意味がある。休眠会員はどこのゴルフ場でも悩みのタネでしょうが、多く利用していただけばいただくほど会員権の価値も上がるという発想です」(鵜野登美男社長)
バブル経済が崩壊、右往左往する日本のゴルフ界。しかし考えてみれば異常だったのは、本来プレー権ありきのゴルフ会員権に、過剰な資産価値を見だし、投機商品として扱ったバブル経済だった。
その後遺症が、ゴルフ会員権にかかわると面倒なことになる」と、純粋にゴルフをしたい者の足までゴルフ場から遠ざけたともいえる。外資が、また日本の大手が、そして法的整理を終えて再建に乗り出した新たな会社が挑む、このプレー権重視の会員権。現時点では変則に見えるが、本来の会員権のあるべき姿なのかもしれない。
|
|