週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
今回の銀行取引停止処分について、同クラブの矢部善一支配人は「カートの導入のためにカート用の道路を作る工事を昨年秋から行なっていて、その工事代金7000万円の資金繰りが付かず、支払いを待ってもらう方向で工事会社と話をしていた。しかし、この冬は雪が多く、例年なら3カ月程度のクローズ期間が5カ月近くになってしまい、収益も大きく落ち込んだ。結局うまく話が付かず不渡りになってしまった」と言う。 その後、その工事会社とは、「3年分割で支払うことで合意しているので、強制執行の心配はなく、運営に支障はない。ウチは預託金債務が8億円強あるけれど、あとはこの7000万円と多少の買掛金があるだけで、他に借金はないので、安心してほしい」とも話している。 榛名CCは昭和44年開場で、会員は約2000人。預託金については平成12年に10年分割返済を理事会で決議したが、額面が40万円程度であることも幸いし、「預託金返還に関するトラブルは起きていない」(矢部支配人)と言う。 かつては東京の貸しビル会社の東成興業の系列コースだったが、昨年2月に大阪・堺市の不動産会社である(株)リアルター販売に売却。今回のカート導入や、ハウスの改装は、この新オーナーの元で進められてきたものだが、一方で、オーナー交代を境に、それまでまったく担保設定がなかったコース施設に次々と担保が付き、現在では3本、6億円分の担保が付いている。このうち(株)榛名CCを債務者とする担保が2本、金額で5億円。これについて矢部支配人は「オーナーから事情を聞いていないのでわからない」と話す。 前経営者である東成興業の高田正吉代表は「仲介者を通して売却したので、売却先についてはどんな会社かは知らない。自分が経営していたときには預託金以外は無借金で、黒字だった」と言い、今回、銀行取引停止処分を受けたことや、コースに担保が付いたことは「もう売ってしまって関係ないので、まったく知らなかった」と言う。 それにしても、いくらクローズ期間が長引いたとはいえ、7000万円程度の資金をオーナーが一時的に融通するなどの方法は取れなかったのだろうか? それに、まがりなりにも倒産したわけだから、コースに担保を付けている債権者たちが、コースを競売にかけてくる心配はないのだろうか? これらの疑問を明らかにすべく、(株)リアルター販売の代表で、現在、(株)榛名CCの代表を務める瀧川良一氏に対し、再三に渡り取材を申し込んだが、出張続きで本稿締切りまでに話を聞くことはできなかった。 会員にしてみれば、いくらこれまで同様平穏にプレーができているとはいえ、それまでは担保ひとつ付いてないまっさらなコースで、経営的にも問題がなかったのに、オーナーが代わったら担保は付くわ、不渡りを出して倒産するわと、不安材料が次々と飛び出したことになる。 社長が無理なら、せめて支配人が会員にしかるべき説明ができるような体制は整えてもらいたいものだが。