週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
来年度から国際学科に「ゴルフ文化コース」を新設するのは萩国際大学(山口県萩市)。まずは気になるのが、教育とゴルフがどう結びつくのか。 「日本の社会では娯楽や余暇と認知されがちなゴルフですが、自分自身が選手と審判を兼ね、技術に加え、高い道徳や判断力が要求されます。また、他人とのコミュニケーションを図るのに適し、老若男女を問わず楽しめる生涯スポーツである点などから、欧米ではゴルフを文化としてとらえています。そこで、文化的素養を持った国際的な教養人として社会に送り出すことを目指し、このコースの新設を決めました」と語るのは、副学長の畑地正憲氏だ。 同大学は1999年の創立以来、定員割れが続き、その対策として外国人留学生を多数受け入れ、現在では全学生の半数以上を中国人留学生が占めている。そこで「日本人学生にいかにして志望してもらえるか」(畑地副学長)知恵を絞り、外国では教育の一環としてゴルフを取り上げている大学があることを思い出し、今回の「ゴルフ文化コース」設立につながった。 具体的なカリキュラムについては「これから専門家の目を通して精査してもらう」(畑地副学長)とのことだが、専門家としてPGA副会長でもある倉本昌弘を客員教授に招聘することを内定している。 「ツアープロやティーチングプロ、ゴルフ場運営・管理能力に秀でた者、あるいは一社会人としてゴルフ技術を特技とする人材。中でも、生涯スポーツとしての指導者や、ゴルフ関連産業に求められる人材の育成に主眼を置く」(畑地副学長) 学問としてゴルフを教える大学はおそらく日本初だろうが、すでにゴルフ専門学校はいくつか存在する。87年設立の日本女子ゴルフ専門学校は、これまでの卒業生500~600名の7、8割が研修生なども含めゴルフ場や練習場に就職。すでに19名の女子プロを輩出、「プロ予備校」的存在となっている。 東京ゴルフ専門学校(89年設立)も、これまでは技術上達よりも教育面に重点を置いていたが、今年から運営方針を変更。プロ育成を主目的に、プロコーチの内藤雄士氏が開発したスウィング理論を採り入れ、従来はカリキュラムの6、7割だった実技を8割に引き上げた。 一方、九州ゴルフ専門学校(92年設立)は卒業生の3分の1がプロ志望だが、多くはゴルフショップやゴルフ場フロント、あるいは高校の非常勤講師(ゴルフ指導者として)といったゴルフ業界に就くという。 すでに同大学ホームページへのアクセスは、今回の発表直後の2日間で1000件に近づいたといい(通常は1日10件程度)、期待の高さを伺わせる。多くの大学や専門学校が少子化の影響に苦しむ中、定員割れを止めるリカバリーショットの成否に注目したい。