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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/8号
2003年更新
盛り上がりを欠いた今年の全米オープンで
日本のファンを湧かせた田中秀、好調の秘密
 上位の顔ぶれ、優勝争いの試合展開も今イチだった今年の全米オープン。テレビ観戦していた日本のゴルフファンが一番エキサイトしたのは田中秀道の活躍ではなかっただろうか。日本勢で唯一の予選通過、そして15位タイとギリギリで来年の同大会出場権を獲得。そんな田中の活躍ぶりを振り返ってみよう。

 前々週の地区予選(トップで通過)が荒天で1日順延になったり、前週のFRBキャピタルオープンがやはり荒天で月曜日まで持ち越しになるという変更続きのタイトな日程の中でも、苛立ったりした表情すら見せなかったように、全米オープンに至5~6週間で、田中は大きな変貌を遂げていた。

「最近“受け入れモード”が広がっているんです。雨で中断になっても、何が起こっても、それを受け入れる。米ツアーでは、いちいちキレてたらキリがないんです」

 そんな田中が今年の全米オープン出場を決め、自らに課した目標は「去年と違う僕を見つけたい」というものだった。

「去年、全米オープンの厳しい設定の中で最後まで頑張れたことが、シーズン後半の流れを好転させるきっかけになった。精神的に向上したんです。だから今年も、全米オープンという経験を今後のPGAツアーの試合に役立てたいと思います。何位以内に入りたいとか、そういうことは何も考えてません」と試合前に語った田中。

 オリンピアフィールズで初めて練習ラウンドした火曜日は、「初めて全米オープンという舞台を見たときに比べれば、今年は全米オープンコースとPGAツアーのコースとのギャップが少なくなった。去年のベスページに比べれば、オリンピアフィールズは、いつもの試合とさほど変わらないイメージです。体はさすがに疲れているけど、余計な力が抜けて、いい具合の脱力感になってくれればいい」と気負いもなかった。

 直前にドタバタ決まった出場だったこともあり、田中があらかじめ持っていたオリンピアフィールズのコース情報はゼロだったが、「今年のプレーヤーズ選手権で、ラフからのアプローチが難しいって聞いて、やたらとその練習をしたら、かえってビビって失敗した。だから今回、先入観がない状態で出るのは、むしろいいこと」と、これまた前向きに考えていた。

 そして初日、田中は参加選手中、フェアウェイキープ率1位(86パーセント)の正確なショットで、1アンダー10位タイの好位置。2日目以降も落ち着いたプレーで毎日71で回り、通算2オーバー、15位タイで4日間を終えた。風が吹いた最終日こそ、ティショットをやや曲げたものの、4日間通してのフェアウェイキープ率は7位。ゴルフそのものの安定を支えた最大の理由は、やはり精神面での安定だったようだ。

「72ホールを焦ることなく一生懸命やれた。自分でも、よくここまで変われたな、と思う。もう少し時間が経てば、もっとそう思えてくるでしょうね」

 ホールアウトした時点で、田中の順位は20位台だった。

「15位以内なら来年の出場権がもらえたのに」と記者団から言われた後も、「実は僕、全然そんなこと気にしてないんです。だって、ちゃんとスウィングして、ちゃんと普通にゴルフを(PGAツアーで)続けていれば、僕は来年の出場権も獲れると思うから。もし、それで獲れなかったら、また地区予選から挑戦すればいいんだし」と、打ち明けた。

 最終的に15位タイが決定した後の田中は、開口一番、「全然、気にしてないでーす」とおどけたが、「やっぱり、うれしいです。“よくがんばったで賞”をあげますって言われたみたいな気分。でも、来年の出場権をもらったからって、今後、僕がやるべきことは何も変わらない。今はもう、次に出るウェスタンオープンのことで頭がいっぱいです」

 すべてが初めてでアップアップ状態だった昨年の田中に比べると、今年の田中はしっかり地に足をつけ、大きく成長している。“去年と違う僕を見つける”という田中自身の目標は、十分達成されたと言えるだろう。今季の後半戦が楽しみだ。

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