週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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　舞台となったコースは、平成3年開場のザ・プリビレッジGC。超高級コースで、最高募集額は7200万円。預託金総額は200億円を超える。コースには長銀関連の担保が総額152億円も設定、同銀行破綻後の債権を譲り受けたのはRCC。さらに外資系ファンド2社、そして山武グリーングループで、このコースの運営委託を平成7年から受けていたピージーシーサービスの関連会社、グリーントラストが担保権者として名を連ねている。

　同クラブの経営会社、ザ・プリビレッジゴルフクラブ(株)（以下、プリビレッジ社）が民事再生の申立をしたのは平成13年2月。しかしグリーントラスト以外の担保権者の同意が得られず、同6月には再生法による再建を断念、7月に破産宣告、その2カ月後には、担保権者のうちの1社、モルガン・スタンレー系のビルドリミテッドがコースの競売を申立てた。と、ここまでは預託金以外にも巨額の借金を背負ったゴルフ場経営会社としては、ありがちな倒産パターンだったが、問題はこの先だ。

　プリビレッジ社は預託金以外にも約180億円の負債を抱え、その上、地元・成田市への滞納固定資産税が5億円もあった。ところが資産はコース施設のみなので競売しても、税務当局と一番抵当権者にしか配当は回らず、会員などの一般債権者への配当はまったく見込めなかったことから、管轄の千葉地裁はこれ以上破産手続きを継続する理由がないとして、平成13年12月に破産手続きの“廃止”決定を下す。つまり、破産の事実は変わらないが、財産処分に裁判所が関与するのは“意味がない”からやめるということだ。

「破産は担保を持たない一般債権者に配当をする手続きなので、それが絶望的なら手続きを止めるべき。競売を最後まで見届けていたら、その間の固定資産税は破産会社の負担になる」（破産管財人の那須克巳弁護士）。

　そしてこの後、今度はグリーントラストが、RCCや外資系ファンドの債権を買い集め、ビルドリミテッドの競売も今年4月1日に取り下げ、コース名もグリッサンドGCに改称した。これに先立ち、唯一にして筆頭の債権者・抵当権者という立場で、今年3月1日から旧ザ・プリビレッジの会員から総額49万9500円という条件で書き換えの募集を開始した。さらに6月23日からは、額面350万円で新規募集も開始しているのだが、登記簿謄本を見ると、コース施設の所有権は、未だにプリビレッジ社の名義のまま。成田市を始めとする税金の差し押さえも付いたままだし、担保権を譲り受けた登記がされているのはRCCの分だけで、ビルドリミテッドなど外資系ファンドの債権を譲り受けた旨の登記もされていないのだ。

「固定資産税はすでに我々が支払っているし、成田市など税務当局とは話が付いている。抵当権はすべて買い取ってウチ1社だけになっているので、所有権移転の手続きは夏頃には完了する見込み。適正化法上の届け出もしているので問題はない」（グリーントラスト社）と説明する。

　ただ、旧会員がこの登記簿謄本を見たら不安を感ぜずにはいられないのも無理もなく、実際、旧会員の一部からは「なぜ所有者でもないグリーントラストが会員募集できるのか」との声も出ている。

「税務当局との話し会いが付いているのなら、所有権移転は十分可能。ただ、本来ビルドリミテッドが申し立てていた競売をそのまま進め、グリーントラストが競落していれば、所有権もちゃんと移るし、納税関係の差し押さえも抵当権もきれいに消えたのだから、それまで待ったほうが会員権を買う人にとっては親切だったのでは」（ゴルフ場問題に詳しい弁護士）というのも事実だろう。

　ちなみに、適正化法の届け出先の経済産業省関東経済局流通サービス産業課では「適正化法は届け出であり許可ではありません。あくまでゴルフ場側の情報開示を求めるものであって、ゴルフ場側が提供した情報のウラ取りをする権限はこちらにはないので、最終判断の責任は当然会員権を購入する方ご本人にあります」と言い切っている。