週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
トップフライト社は、旧スポルディング・スポーツ・ワールドワイド社。今回の会社更生申請に先立ち、シューズのエトニックを始め、バスケットやサッカーのボールブランドを売却、ゴルフ専門メーカーにスリム化したことから、先の5月中旬に社名をトップフライトに変更していた。そんなこともあって、同社の売却がかねてから噂されていたのだが、なんと言っても、世界最大のボールメーカー(数量ベース)が世界最大のクラブメーカーに買収されるのだから、業界の注目を集めるのも当然。 もともとトップフライトの売却先がキャロウェイになる線は薄いと見られていた。キャロウェイのボール売り上げは当初の予想より悪く、初期投資が大きかった分、採算ベースに乗せるのに苦労していたからだ。と同時に、負債を抱えるトップフライトを買収しても採算が取れないとの見方も強かった。 トップフライトの最高責任者であるJ・クレーギー氏によれば、同社は昨年約2億5000万ドルの売り上げを記録していたが、530万ドルの負債によって、経営が立ち行かなくなっていたということなのだ。 ところが、今回の買収劇は、いったん破産申請をして、負債をチャラにしてから、キャロウェイが買収するというもので、キャロウェイのR・ドラポー社長は、負債さえなければ、十分に採算が取れると見ているようなのだ。そうしたこともあって、今回の買収には、裁判所の許可が必要で、確定するのは3カ月先になるが、買収価格も、推定1億2500万ドルと当初の予想よりリーズナブルなものになっている。 しかも「市場においてトップフライトとベン・ホーガンのブランドを買収することは、これまで、我々のブランドに欠けていた分野や(販売)チャンネルへの参加が可能になる」(ドラポー社長)とか。実際、米国では、トップフライトブランドといえば、低価格で庶民向けのブランド、そしてホーガン、ストラータのボールは、トップアマ向けというイメージがあった。その一方で、キャロウェイのほうは、使いやすさを売り物に、価格面ではつねにトップクラスのギアを提供している。そうした意味では、今回の買収で、キャロウェイ社は、全方向をカバーするトータルなブランドに変身する可能性を手にすることになる。ブランド名を残すのかとか、トップフライトの従業員をどうするのか? といった問題については「運営面での事柄を決めるには、まだ早すぎる」(L・ドーマン、キャロウェイ副社長)とのことで未定だ。 いずれにしても、ナイキ、アディダスといった総合スポーツメーカーに対抗するためにも、キャロウェイとしては、その屋台骨を強化する必要があったということなのだろう。