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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/29号
2003年更新
USGAとR&Aがボール飛距離制限の
新テスト方法発表、開発の余地厳しく

 今年の全米オープンで、本誌がスクープした、ゴルフボールの新テストの詳細を、英国のR&Aと米国のUSGAの両団体が明らかにした。

 ボールの飛距離制限に関するテスト方法は1976年からほとんど変わっていなかったため、時代の変化に即したテスト方法に変える必要に迫られていた。具体的には「新しいテストは今日のPGAツアーのロングヒッターが使用するクラブやスウィングスピード、打ち出し角といった条件のもとでテストできるようにしたもの」とUSGAのシニアディレクター、D・ラギー氏が語るように、従来のテスト条件を刷新した。

 ちなみに、これまでテストで使用されていたクラブは合板ヘッドのドライバーで、スウィングスピードが時速109マイル(48.73m/s)でボールを打って測定されていたが(実際には3年ほど前からインドアテストがメインで、この条件に相当する数値測定が行われていた)、今回提案された新テストでは、反発係数が0.82のチタンドライバーを使用、スウィングスピードを11マイル上げて、時速120マイル(約53.6m/s)で打つもので、より現在のツアープレーヤーたちに近い条件でテストが行われることになる。具体的には、ボールの打ち出し角度は10度、バックスピン数は毎秒42回転、使用シャフトはトゥルーテンパーのスチールのS300(43.5インチ)が従来と変わらず使用される。ツアーでは、カーボンシャフトが主流になっているが、ロボットを使用してのテストでは、スチールのほうが安定した数値を出しやすいとかで、敢えて変えなかった模様だ。

 今回の提案は、今年の12月20日までメーカーなどからの意見を聞き、来春に正式決定となる予定。基本的には、今やパーシモンや合成ドライバーを使用するゴルファーがほとんどいない以上、テスト方法を刷新するのは当然だろう。しかし問題は、こうした条件下での飛距離制限で、今回の提案では、認定球とされる最高の飛距離の上限が、従来の296.8ヤードから320ヤードにしかアップされないという点だ。

 つまりこれはどういうことかというと、これまではスウィングスピードの遅い条件下でテストされていたため、メーカーにはプロやロングヒッター向けには開発の余地が残されていた。しかし、テスト方法の刷新でその開発の余地が少なくなるのに加え、従来のテスト方法よりも「スウィングスピードを11マイル上げた分、ボールの飛距離は22ヤード伸び、反発係数が0.82のチタンドライバーを使う分8ヤードほど飛距離が伸びる」(USGAの見解)にもかかわらず、今回の提案では、上限をそれらを合わせた30ヤードの飛距離増にするのではなく、23.2ヤードしか引き上げていないのだ。

 確かに「古いテスト方法と新しいテスト方法を単純には比較できない」(前出・ラギー氏)だろうが、実際には、これまでに認定球を新テスト方式で測定した結果、320ヤード以上飛ぶボールが存在しなかったため、その上限が設定されたようで、これまで認定されたボールがこの新テストで認定を 取り消されることはなさそうだ。それにしても、ボールメーカーにすれば、新テストでは実質約7ヤード分、条件が厳しくなることになる。

 タイトリスト社では「今回の新テスト方式については検討中で、まだコメントを出せる段階ではない」(広報)としながらも、基本的には、用品のあらゆる制限に対して、異議を唱えて行く姿勢を崩していない。

全体に飛距離が伸びているのは疑いのない事実だが、必ずしもスコアには反映していない。今年の全米オープンでも、パー70に対して平均スコアは72.8と、2オーバーを超えているんだよ」と語ったのは、同社のユーライン会長。

 今後、果たしてこの提案通りすんなり事が進むのだろうか。

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