ゴルフダイジェスト出版案内> BACK9
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/29号
2003年更新
償還対策の抜本的解決策との期待かかる
中間法人化、カレドニアンと富里も採用

 昨年4月施行の中間法人法だが、再生スキームとして採用するゴルフ場が急増中だ。すでに中間法人を設立したゴルフ場は8カ所。さらに8コースが導入予定で、今後まだまだ増えそうな気配だ。そんな中、東京グリーン(株)系列の富里GC、カレドニアンGC(ともに千葉県)もそれぞれ5月と6月に中間法人である富里クラブとカレドニアンクラブを設立した。

 両ゴルフ場はそれぞれ平成元年、2年のバブル期に開場、募集の最高額は富里の6000万円で、ご多分に漏れず、預託金問題を抱え、償還期には会員権の分割と据置期間延長のお願いなどで対応してきた。しかし、抜本的な解決策ではないとして、今回の中間法人設立に至った。

 カレドニアンクラブの渡邊惇代表理事によれば、「強硬に返還請求する会員は全体の3パーセントにも満たず、大多数の会員はクラブライフの享受を願っている。それで辿りついたのが中間法人化で、たとえば裁判で返還判決を勝ち取った一部会員の強制執行にも対応できる」とする。

 具体的には両クラブとも、会員は中間法人の社員になり、預託金を中間法人に信託譲渡し、これにより会社側に対する返還請求権は中間法人が持つ事になり、個々の会員は会社に対して請求権を行使できなくなる。償還は利益の中から一定額を中間法人に払い、退会希望者の中から抽選で支払うとしている。

 もっとも会員の中間法人への参加は強制的ではなく、中間法人の社員にならない会員は従来通り会社に返還請求権をもつが、「カレドニアンでは平成11年、富里では同12年に、据置期間の10年延長を決めたが、これは会員総会での決議。同意率も80パーセント強で、つまり預託金の償還を求めていない会員が大多数。今回の中間法人についても、年内には90パーセント以上が同意してくれるものと信じている」(富里クラブの葛和建巳代表理事)と言う。

 ちなみに現在、富里では約1450名の会員のうち、約1200名が、カレドニアンでは約1500名のうち約400名が中間法人の社員となっている。

「預託金問題解決のため、民事再生という選択もあったが、法的整理は安易な道だと考える。会員と手をとり、会員による会員のためのクラブとして再生するモデルケースになるものと信じている」(早川治良社長)

 会社側と中間法人の関係も、これまで早川社長が85パーセント、伊藤忠が15パーセント持っていた株式を、両中間法人に22.5パーセントずつ譲渡。結果、中間法人45パーセント、早川社長45パーセント、伊藤忠10パーセントとなり、今後各中間法人から役員1名、監査役1名を派遣する方針だ。また、両コースのゴルフ場施設には、中間法人を債権者として、ともに預託金総額に相当する200億円の根抵当権を設定、預託金債権を担保するという。

 もっとも、これで民事再生を含む法的整理の危険が回避されたわけではない。現に全国で中間法人第1号となった美奈木GC(中間法人みなぎの会)は、信託譲渡、抵当権設定という同様の手法を取り、8割以上の会員が入会したものの、中間法人に入会しない会員の償却請求などをおさえ切れず、その後、民事再生法を申請したというケースがある。

 東京グリーンの場合は、据置期間を10年延長していることもあり、現在償還請求訴訟は抱えていないが、中間法人への入退会は自由である以上、将来的に償還圧力がどれだけ高まるかは不透明な部分も残る。

 また、美奈木GCでは、中間法人に第一順位の抵当権を設定したが、カレドニアン、冨里の場合は、すでにみずほ銀行が限度額260億円の根抵当権を設定している。つまり中間法人は二番抵当となるわけだが、「金融機関とは、債務の減免について話し合っており、近い将来中間法人が第一抵当権者になる予定」(早川社長)と説明。

 いずれにせよ、法的整理を行わず、また会社と会員が手を取り合っての間接株主制を実現する中間法人化。その成否は今後、会員の中間法人への入会率と、中間法人によってクラブがどのように生まれ変わるかのビジョンをどれだけ明確に提示できるかにかかっている。

「今後は会員が先頭に立って、どんなクラブを目指すのか議論を深めていく予定。大変な作業なので、相応の覚悟もしている」(渡邊代表理事)

 今後もゴルフ界から熱い注目を浴び。また採用するコースも増えるであろう中間法人。単に預託金償還対策のためだけでなく、会員の意見がクラブ運営に反映されるような、真のクラブに生まれ変わるきっかけにして欲しいものだ。

バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト
ゴルフ会員権情報
ゴルフダイジェストの会員権情報です