週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
首位と5打差でスタートした最終日、13、14番で連続バーディを奪い、首位に立った鈴木。最後は表純子とのプレーオフになったが、3パットでボギーとした相手を横目に「12メートルのファーストパットを1メートル半もショート、“これを外したら自分自身に腹が立つ”と思ったら気合いをが入りました」。 ウイニングパーパットは、ど真ん中から決めてみせた。 戸惑い気味の表彰式を終え、共同記者会見の席につくと、第一声は「初めまして」。真っ黒に日焼けした顔に照れ笑いを浮かべながら質問に答えた。 「優勝は意識したくなかったんで、トップに立っても“あり得ない、あり得ない”と思ってプレーした」という鈴木。Vへ気持ちを込めたのは「プレーオフの2打目から」だったとか。 中京女子高時代はソフトボールの捕手。卒業後、双子の妹と日本女子ゴルフ学校に入学、そこで初めてクラブを握った。 「最初はキャディでも目指そうかな、と思っていたのに、面接でなぜか『プロを目指します』と言ってました」と鈴木。1年間のゴルフ学校課程を終えると、妹はゴルフの道を諦めたが、鈴木は研修生となり、98年、米山みどり、藤野オリエらとともにプロテストに合格した。しかし、デビュー以来昨年までは、鳴かず飛ばず。統一予選会でも年間を通しての出場権を獲得するまでには至らなかった。賞金ランクは99年、00年がともに114位、01年75位、02年72位。が、今年1月に参戦したアジアサーキットで、自分のゴルフが変わる出来事があったという。 「トップから崩れて5位に終わった試合でしたが、ギャラリー応援してくれたプロ仲間が『なんであんな一生懸命になっちゃってるの? いつもみたいにしゃべりながら、ニコニコしてラウンドしなよ』と言われて……。それ以来、あまり入れ込まず、視野を広げてプレーするように気をつけてるんです」と鈴木。スウィング改造や、特別な練習に取り組んだわけではなく、そのメンタル面の変化だけが、今季の好調に結びついたとか。 第2戦のプロミスで3位タイ、第5戦のニチレイで2位タイ。ここで「最終日に最終組でソレンスタムと回って以来、彼女が目標になった。あんなにすごいのに全然威張ってないし、人間的に素晴らしい」と、新たな刺激も受け、今回の初V、初シード獲得につながった。 髪はJリーガーばりの金髪。「もう少し女性らしくしようと思わないの?」という、いささか意地悪な質問にも「いやぁ、これでも前よりはウェアにも気を遣ってるんですけど……」と嫌な顔ひとつ見せずに答える鈴木。ちょっぴり個性的だが、金髪・顔グロの中身は好感度高し、である。