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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 8/5号
2003年更新
増加中のゴルフ場貴重品ロッカー盗難事件
小型カメラでの盗撮に替わる新手口とは?

 貴重品ロッカーの操作盤(テンキー)の天井に小型の隠しカメラで、入力した暗証番号を盗撮。中の貴重品を盗む盗難事件が、関西を中心に急増していることは、以前にも紹介した。ところが今、貴重品ロッカーから盗み出す手口はより巧妙化、しかも狙われるゴルフ場も全国的に広がりつつあるようだ。果たして、それを防ぐ手立ては?

 この小型カメラの手口を初めて耳にしたときには驚愕し、噂は業界関係者の間にアッという間に広まったため、ゴルフ場の警戒感は全国的に強まっている。

 それでも「今年に入ってから、神奈川県内でも2つのゴルフ場で同様の盗難があったと聞いています。そのため県の支配人会から各ゴルフ場に対し、貴重品ロッカーとその周辺に関しては毎日チェックするようにという通達が出され、ゴルフ場は、どこも貴重品ロッカーを丹念に点検しているはず」とは、神奈川県内のあるゴルフ場。

 これで貴重品ロッカーは安全になったのかというと、どうもそうではないらしい。

 6月中旬に、栃木県の某ゴルフ場で貴重品ロッカーの盗難に遭ったと思われるゴルファーの話を聞くことができた。

「クレジットカード会社から確認の電話があって、初めて被害に遭ったことが分かりました。まさに青天の霹靂でした」と振り返る事件の経過はこうだ。

 7月初めのある日、カード会社から「6月27日、都内の家電量販店で買い物されたでしょうか」という問い合わせの連絡があった。カード会社によれば、その日、彼はパソコンや数台のデジタルカメラなど多数の電気機器を一度に数十万円分購入したことになっている。もちろん当人には身に覚えがない。

「カードは常に携帯していましたが、その頃、唯一手元から離したのが、6月14日に栃木県のゴルフ場で貴重品ロッカーに預けたときだけ」と答えると、カード会社側は「そこの可能性が高いですね。実は、ゴルフ場で同様の盗難が最近多発しているんですよ」と納得。どうやら事件の舞台はゴルフ場であることがほぼ断定された。

 早速そのゴルフ場に問い合わせてみると、意外にも「いいえ。最近うちではカード会社からも警察からも、そのような盗難の調べはありません」という返事。

 また、貴重品ロッカーから小型カメラが発見されたという事実もないという。

「カメラは十分警戒されていますから、もう無理じゃないですか」(群馬県・甘楽CC)

 では、一体どういう手口で?「今多いのは、離れたところから手先の動きを見て暗証番号を読む方法。中には10メートルも離れたところから正確に読める者もいるようです。彼らはロッカーを開けると、その場でカードの磁気データをスキャン。それをもとに偽造カードを作るだけ。何も取らないんです」と語るのは貴重品ロッカーの某メーカー。クレジットカードは財布に入れて元のロッカーに戻しておくために証拠も残らず、ゴルフ場側も被害に気付かず、ゴルファーも、数日後にカード会社から問い合わせが来るまで被害に遭ったことに気付かないのである。

 また、別のメーカーの製造担当者は、「ロッカールームが暗証番号方式のゴルフ場では、貴重品ロッカーでも同じ番号を入力しがち。そこで、貴重品ロッカーに預けた人の跡をロッカーまで付いていき、あたりをウロウロ。ロッカーの番号をセットするのを盗み見る手があるそうです。携帯電話で話しているフリをしながら盗み見ているようです」と巧妙化した実態を教えてくれた。

 メーカー側も、暗証番号以外にICカード方式のキーを付けるなど、二重でロックするロッカーを相継いで開発しているが、「それでも100パーセント安全とは断言できないんです。最後に大事な“キー”は使う側の防犯意識です。ただ、我々メーカーとしてはそう言って逃げられない立場ですが……」と語るのは、この手の貴重品ロッカーのシェア約7割を誇る(株)アルファーの担当者だ。 実際、貴重品ロッカーの前では、暗証番号をつい小声で口にしながらテンキーを押すゴルファーもいる。ゴルフという楽しい時間を前に、警戒感が薄くなるのが朝のゴルファーなのか。

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