週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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　その記事は、7月10日に民事再生手続開始を申立てた、鹿島の杜CC（茨城）の経営会社、(株)鹿島の杜カントリー倶楽部の再生をサーベラスが手がけ、これを皮切りに、他のゴルフ場の再生事業も手がけるという内容で、ゴールドマンサックスとローンスターの主戦場に、あたかもサーベラスが殴り込みをかけるかのような印象を受けた。

　しかし、当のサーベラスは、「ゴールドマンやローンスターと競争しようなどという気は毛頭ない」（サーベラスジャパン・広報担当）との答え。

　同ファンドは、長崎屋のスポンサーや、最近ではソフトバンクが保有していたあおぞら銀行株の譲渡先として知られ、銀行から債権を買い、転売したり回収したりするビジネスも手がければ、破綻企業や業績不振の企業に自ら経営陣を送り再生を図る再生ビジネスも手がけている。

　今回の鹿島の杜CCの場合は、サーベラスが自ら経営陣を送り込んだのではなく、再生の実務を担当する新経営陣が先に決まったところへ、旧債権者から債権を買い取って、資金スポンサー的立場になっている。従って「あくまで弊社がかねてから手がけている再生ビジネスのひとつという位置付けで、今後ゴルフ場を積極的に買収していくという方針があるわけではない」と言う。つまり、たまたま縁あって再生対象の会社の事業がゴルフ場経営だっただけの話だというのだ。

鹿島の杜CCは昭和50年代後半頃に、鹿島総業なる会社が開発を計画したが、資金不足で計画が頓挫。そこで計画を引き継ぐために、鹿島総業の経営者が知人、関係者の協力を得て、共同出資で昭和61年に設立したのが、現在の(株)鹿島の杜カントリー倶楽部である。平成元年には開発許可を取得、中堅ゼネコン東海興業に施工を依頼し、平成5年秋には完成したものの、90億円以上にも上る工事代金の未払いから、東海興業が引渡しを拒否してロックアウトを行うなどのトラブルも発生した。このため、打開策として東海興業51パーセント、(株)鹿島の杜カントリー倶楽部49パーセント出資で、運営委託会社、鹿島の杜サービスを設立、事実上、東海興業がゴルフ場の経営を監視する形で平成6年に仮オープン、2年後の平成8年に本オープンとなった。

　しかし、その翌年には東海興業自身が会社更生手続開始を申立てる事態となり、同ゴルフ場の経営への監視が行き届いていたとは言えず、放漫経営によって税金の滞納や地代、工事代金の未払いが続き、東海興業は90億円を超える工事代金の回収の道を模索していた。

　状況が変わったのは昨年末。新たにゴルフ場経営コンサルタントの國島吾郎氏主導で再建を図ることが決まり、その第一段階として、東海興業が保有する鹿島の杜サービスの株式を國島氏側に売却。その後、旧経営陣を一掃、東海興業がコース施設に設定している１番抵当権をサーベラスに売却したのは今年4月。旧経営陣に代わって國島氏が(株)鹿島の杜カントリー倶楽部の代表に就任、債務整理のため今回の民事再生申立に至ったというわけだ。

　従って「経営は國島氏以下、新経営陣で行っていくので、サーベラスは経営権を握るタイプのスポンサーとは少し違い、資金支援者のような位置付け」（申立代理人・川端基彦弁護士）だと話す。

　ちなみに、(株)鹿島の杜カントリー倶楽部の負債は335億円、うち預託金は131億円。カット率は継続会員で40パーセント（残り60パーセントは10年据え置き）、退会会員で99.9パーセントとなる見込みで「現在の経営陣であれば、多額の滞納税金も支払えるだけの収益を上げていくことは十分可能」（川端弁護士）だと言う。

　ともあれ、またまたゴルフ場業界に新たな外資の参入かと注目を集めたが、ゴールドマンサックス、ローンスターの２大外資の勢力図は当面変わることはなさそうだ。