週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
レギュラーツアーとシニアツアーで同じ年に優勝するというのは、R・フロイドが92年に達成しているが、彼の場合は、レギュラーツアーに勝ったのは、春先のドラールライダーオープンで、49歳と6カ月のとき。つまり、50歳を超えたシニアの選手が、シニアツアーで勝った同じ年にレギュラーツアーでも勝つというのは史上初で、しかも今回は2週連続での快挙だ。 たしかに、レギュラーツアーの主力組が同週の全英オープンに出ていたという事情はあるのも事実だが、それにしても50歳を過ぎて、レギュラーツアーで優勝するのは、史上5番目の記録で、なんと28年ぶり。選手の層が昔とは比較にならないくらい厚くなった昨今で、シニアの選手がレギュラーツアーで優勝するのは、ほとんど不可能といわれていただけに、驚きも少なくない。 本人に言わせると「なぜ急にこんなに調子が良くなったのか自分でもわからない。50という年齢が私にとって魔法の数字で、良いワインと同じように、50年経って良くなったのかもしれない」ということだが、やはり決め手となったのはパットだったのかもしれない。なにしろBCオープンでは、最終日に9アンダーの63を出し、首位から8打差をひっくり返しての優勝を飾ったのだが、1番、7番ではそれぞれ9メートル、16メートル強のバーディパット、12番では11メートル強のイーグルパットを決めている。 前週のシニアプレーヤーズ選手権では、「パッティングのグリップを、カルカベキアもやっているクロウグリップと言われるスタイルに戻して、急に良くなった。もともと全盛期のころも、ショットはあまり自信がなくてもパットでスコアをまとめていた。毎ホール、3メートルに寄せて、それをミスするより、ひどいショットを打って、パットで決めたほうが気分が良かった」なんて語っていたスタドラーだが、つまりは、全盛期の優勝パターンに戻ってきたということなのかもしれない。 そういえば、全英オープンでは、T・ワトソン、G・ノーマンといったベテラン組が活躍していたが、年齢を重ねると4日間、集中力を持続させることが難しく、どうしても1日はショットが乱れたり、パッティングのフィーリングが悪くなるという。だとすれば、もともとショットが悪くても気にせず、そのうえパットの調子を取り戻した今のスタドラーには怖いものなしということか? 人気者のスタドラー、まだまだシニア、レギュラーの両ツアーで活躍してくれそうだ。