週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
ここまでのツアーのキーワードは「復活」だろう。4月のつるやオープンでは宮瀬博文が2年6カ月ぶりに、01年の腰痛、02年の半月板損傷を克服しての復活V。続く5月のフジサンケイではT・ハミルトンが4年7カ月ぶりに優勝。今年、同年代のF・カプルスが米ツアーで5年ぶりに優勝を果たしたにことに刺激を受け、自身も復活Vを果たした。6月にはJCBクラシックで友利勝良が7年9カ月ぶりの優勝。7月の日本ゴルフ選手権では、伊沢利光が1年8カ月ぶりの優勝。去年暮れに丸山茂樹とワールドカップでの優勝もあり、復活というには期間が短いが、01年の強さを考えると復活と言えるだろう。 実は、前半戦のこれらの復活劇が、後半戦の見所へと繋がっていく。開幕から14試合目となる新潟オープンまでの賞金ランクのトップ10で、今季未勝利の選手が5位の平塚哲二、6位の手嶋多一、7位の高山忠洋と3人(次点の11位のS・K・ホも未勝利)もいる。未勝利の彼らが5~7位という上位に食い込んでいる理由は、前出の復活組の多くが、複数優勝(ハミルトン3勝、宮瀬と伊沢は2勝)を挙げ、それがことごとくランク5~7位の選手の優勝を阻む形になっているからだ。とくにまだツアー優勝の経験ゼロの平塚と高山の場合、平塚がフジサンケイでハミルトンに、高山がツアー選手権で伊沢に優勝をさらわれ、いずれも2位に泣いている。 しかし、優勝なしでこの位置にいられるということは、裏を返せば安定して上位に入っているということでもある。後半戦はこのツアー未勝利コンビの戦いぶりと初Vに注目したい。 平塚哲二は今季好調の理由を「契約2年目となる内藤雄士コーチとのスウィング改造が順調で、課題だったトップをコンパクトにして“体幹”で振るスウィングができるようになり、ショットが安定しました。また今年のオフにジャンボさんの合宿に参加し、ジャンボさんからダウンで右肩が沈み込むと指摘され、前傾角度を変えないよう意識していることもショットを安定させています」と言う。 今一歩で優勝に届かなかった原因は「最終日のカベはあります。もう凄い緊張は感じないので精神的なものではないとは思うんですが、ショットもパットも詰めが甘い」と分析。 後半戦については「目標は全試合出場。去年は日本シリーズに出場できなかったので今年はぜひ達成したい。そのためにも優勝したい」と抱負を語る。 高山忠洋は現在25歳で元高校球児だが、田中秀道に憧れてプロになった経歴の持ち主。前半戦を振り返って「例年になく厳しくやったオフトレの成果が出て、自分としては80パーセントの出来。技術的に変わったところはないが、精神的には自分を見失わずプレーができるようになった。これも体力強化の賜物。僕は精神力も、体力あってのものと考えていますから」と言う。 ひとりで取り組んだというオフトレは、家近くの川べりでの走り込みが中心ということで、最新マシンを使ったジムワークが目立つ昨今のトレーニング事情の中にあって、野太いやり方で成果を挙げたところが注目される。優勝への手応えは、「攻めるときと耐えるときのメリハリがまだできていない。その辺が課題です」と言う。 今季後半戦は「アマチュア競技の経験がなくマッチプレーを体験したことがないので、9月のマッチプレーにはぜひ出たいですね。そしてツアー初優勝はせひ日本オープンで。複数年シードを穫って、田中秀道さんの後を追って米ツアーに参戦するのが夢ですから」と抱負を語った。 ツアー後半戦は、賞金王レースもさることながら、この2人の初優勝の行方にも注目だ。