週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
売り出すのは、東急不動産が経営する小見川東急GC(千葉)の、ずばり「プレミアム契約付き会員権」(追加募集で、通常の会員権と合わせて計200口募集)。その中身は、200万円の預託金が10年後には100万円の預託金と120万円分の商品券になるというもの。つまり、20万円分のプレミアムが付いているというわけだ。 ただし、一度に120万円分の商品券が送られてくるわけではなく、毎年預託金額が10万円ずつ減額される代わりに、12万円分の商品券が、10年間にわたり提供される仕組み。しかも、その商品券は、東急不動産グループのリゾート施設(全施設適用)で利用できる商品券。メーカーで言えば、自社製品の現物支給のようなものだ。 これではプレミアムといってもその価値に疑問が湧くところだが、案外好評だそうだ。一般への販売に先立ち、現会員からの乗り換え募集を行ったところ、「さっそく多数の問い合わせがあり、すぐに10数件の申し込みがありました」(同社広報) また、一般からの問い合わせもプレミアム付会員権のほうが圧倒しているという。利用先限定の商品券とはいえ、同グループのリゾート施設には筑波東急GCなど全国15のゴルフ場のほか、スキー場やリゾートホテルなどがある。もちろん商品券は会員本人以外も利用できる。そのため「奥様や家族に言い訳が立つから買いたいという方も……(笑)」(同社広報) 他にも、定年退職でリタイアした人が「お金は、動けるうちに使いたいから」とか、福利施設を持たない会社の経営者が社員の福利厚生に使いたいとして購入を検討しているそうだ。 この手法は同グループにとっても、ゴルフ場をはじめ施設の活性化につながる好戦略といえる。実は、これと似たような手法は他のゴルフ場でも導入されている。 浅見CC(茨城)では預託金の一部をプレー代に充当できる会員権を7月から販売している。預託金50万円のうち20万円まではプレー代(飲食代も可)の支払いで相殺することが可能というもの。ただし、こちらにはプレミアムはなく、一度に充当できる金額はプレー代の半分までで会員本人分に限るものだ。 また、3年前には南千葉GCでは、預託金償還対策として預託金からプレー代金を相殺していくシステムを導入し話題を集めたが、今回の東急不動産グループの新会員権についても、一部報道で預託金債務を徐々に圧縮できる効果が指摘されたが、同社では「そうした意図はまったくありません」(広報部)と否定している。 会員権に詳しいゴルフジャーナリストの田野辺薫氏は「圧縮額はわずかですが、結果的に圧縮されるわけだし、その効果が頭になかったということはないのでは」としたうえで、「半分とはいえ、預託金の使い道がわかりやすく、しかも会員にちゃんとした形で返されるのだからいいことでしょう」と評価する。 購買を刺激するために提供されるプレミアム。活性化のためにも、今後、導入するゴルフ場が増えることを期待したい。