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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 8/19・26号
2003年更新
公益法人の抜本的改革を政府が閣議決定
社団法人の名門ゴルフ場はどうなる?
 6月27日、政府は「公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針」を閣議決定した。来年度末までに基本的枠組を具体化、翌平成17年度末までに法整備を行ない、全国に2万6000(国所管7000、都道府県所管1万9000)もある公益法人を解消、非営利法人へと移行させていくというもの。全国には、公益法人である社団法人制ゴルフクラブが32カ所(34コース)ある。日本のゴルフ界をリードした名門ばかりだが、その見直しが迫られている。

 公益法人は民法34条により、公益で非営利と認められた場合、主務官庁が認可する。社団法人制ゴルフ場は、大正12年の茨木CCに始まり、昭和43年の周南CCまで、これまで32の社団法人を旧文部省が認可、その後、すべて都道府県の教育委員会に移管され、現在に至っている。そして、(社)神戸国際CCが経営する2コースを除き、すべてが会員制だ。

 社団法人制ゴルフ場の見直し議論は、昭和60年まで遡る。前JGA(日本ゴルフ協会)会長で、霞ヶ関CCの会員でもある当時の後藤田正晴総務庁長官が、「公益法人の指導監督等に関する行政観察結果に基づく勧告」で、社団法人制ゴルフ場に言及。さらに平成8年、数ある公益法人の中でも社団法人制ゴルフ場が名指しで見直し対象に上がった経緯もある。

 これほどまでに社団法人制ゴルフ場が槍玉に挙がる背景には、不特定多数の利益のために存在する公益法人なのに、ほとんどが会員制で、一部ゴルファーの利益にしか貢献していないというのがその論拠だ。もちろんゴルフの普及に寄与した名門も多く、そうした公益性を認める意見もあるが、ゴルフが大衆化した現代にあって、その役割を終えたとの指摘も多い。

 今回の閣議決定により、社団法人制コース側ではまだ目目立った動きはないようだ。

「まだ国の方針が正式に決まらないため、我々としてどうこうする段階ではない。できるなら今の体制で続けていきたいというのが、多くの会員の共通した思いだろう」(我孫子GC・吉田冨士男支配人)

 ちなみに我孫子GCは、人の集まりであるクラブが社団法人で、ゴルフ場の所有は同じ名前の株式会社となっている。

「今回の議論にしても、公益法人全体の1パーセントにも満たないゴルフクラブを対象にしたものではないと思っている」(東京GC・川真田直樹支配人)と、まだクラブ内での本格議論には発展していないようだ。

 それは国とて同じで、社団法人をNPO法人、中間法人などの非営利法人に移行していくとしているものの、まだ税制の優遇など細かいことについては、何も決まっていない状態。現行では、社団法人は原則非課税、そのうちゴルフ場のような収益事業には、一般企業に30パーセントの所得税がかかるのに対し、22パーセントですむという優遇措置がある。

 今後、非営利法人に移行する場合、それらをどうするか、政府与党内にも意見の対立がある。この辺が明確にならなければ、社団法人制ゴルフ場も、対処しようがないのも当然だろう。

 ただ、法人格がどうであれ、公益法人を名乗る以上、やはり不特定多数の利益に貢献するのはその責務のはず。これについて霞ヶ関CCの斎藤芳康支配人は「毎年行っている全日本ジュニア大会は30年以上になるし、来年は国体会場でもあり、06年には日本オープンの会場にも決まっている。毎年、地元の市民ゴルフ大会や市町村対抗ゴルフ大会、県協会の研修会にも積極的に開放しており、社団法人としての公益性を追求しているとは思うのですが」と説明。

 また、公益法人ながら、女性が会員になれない点について前出の東京GCの川真田支配人は「個人的な意見」と前置きした上で、「時代の要請であれば議論する時期がくるかもしれないが、会員制である以上、それは会員の皆様が決めること。また、日曜日以外は女性のお客様もプレーされています」と話す。ともあれ、社団法人ゴルフ場は、今後なんらかの組織変更、運営方法の変更を余儀なくされることだけは間違いなさそうだが、それも小泉首相の行政改革へのやる気が、どこまで本気かにかかってきそうだ。

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